【医師向け】ChatGPTは医療現場で活用できる?事例とリスク対策を解説

【医師向け】ChatGPTは医療現場で活用できる?事例とリスク対策を解説

  • 2025年8月28日
  • AI

夕暮れ時にAIを活用しようとしている医師

「診断書やサマリー作成で忙しく、AIで効率化したい」

「医療現場でもChatGPTは安全に使えるのか」

多忙な業務を効率化したいと考える開業医の先生にとって、ChatGPTなどの生成AIは解決手段の一つです。近年では、個人の利用だけでなくビジネスの場へと活用範囲を広げるChatGPTですが、医療現場での活用は可能なのでしょうか。

生成AIによる医療の効率化は、プロンプト生成とセキュリティ対策が必要不可欠です。

本記事では、生成AIであるChatGPTを活用し、医療現場の業務負担を軽減するための具体的な方法を解説します。ChatGPTを「時間を創出するためのアシスタント」として捉え、明日からの診療に生かすヒントを説明します。

ChatGPTが医療現場でできること

人間と機械の手が協力しようとしている画像

ChatGPTはハルシネーション(誤情報)のリスクがあるため、診断のような医学的判断は現時点では任せられません。

しかし、「秘書的業務」と位置づけられる作業においては、業務効率を大きく向上させます。具体的には、以下のような業務が挙げられます。

  • 紹介状やサマリーの下書き作成
  • 患者への説明資料の作成
  • 最新の医学論文の検索と要約
  • 院内スタッフ向けの業務マニュアル作成
  • クリニックのWebサイトに掲載する健康情報コラムの作成

文書作成が自動化されることで、紹介状や患者説明資料、マニュアル、院内掲示物などの業務効率化につながります。情報収集が容易になるため、医師やスタッフの自己学習の支援や研修資料の作成にも役立ちます。

【明日から実践】医療現場のChatGPT活用事例5選

パソコンを入力する様子

医療現場のChatGPT活用に関して、すぐに試せる5つの事例を紹介します。

  • 紹介状・サマリー作成
  • 患者への病状説明資料作成
  • 論文の要約・情報収集
  • スタッフ教育のマニュアル作成
  • 医療事務・広報の効率化

1. 紹介状・サマリー作成

電子カルテから患者の記録をコピーして箇条書きで入力するだけで、丁寧な文章のドラフトが完成します。

例えば、「記載した情報をもとに、診療情報提供書を作成して」と指示するだけで、構造化された文書を生成可能です。書類作成時間の短縮や転記ミスの削減につながります。

医療法人社団モルゲンロートでは、電子カルテの情報から紹介状の草案を自動生成するシステムを構築しています。医師はAIが作成した下書きを確認・修正するだけで済むため、紹介状作成時間が従来の10分の1に削減されました。

参考:モルゲンロート、ChatGPTとAI技術を活用した紹介状自動生成システムを構築│PRTIMES

2. 患者への病状説明資料作成

専門的な内容を患者に分かりやすく伝える際にも有効です。「『気管支喘息』について、中学生にもわかるように説明して」と指示すれば、平易な表現で包括的な説明文を作成できます。患者の理解が深まり、インフォームド・コンセントの質の向上につながります。

カリフォルニア大学の研究では、実際の患者からの質問に対し、ChatGPTの回答が医師の回答よりも質・共感性の両面で高く評価されました。特に、回答の平均文字数が医師の52語に対して、ChatGPTは211語と長く、包括的な情報提供が可能といえます。

参考:Ayers JW, Poliak A, Dredze M, et al. Comparing Physician and Artificial Intelligence Chatbot Responses to Patient Questions Posted to a Public Social Media Forum. JAMA Intern Med. 2023;183(6):589-596.

3. 論文の要約・情報収集

多忙な中で最新の医学知識を得るのは大変です。ChatGPTを使えば、海外の最新論文を迅速に要約することが可能です。

特定のキーワードを指定し、「関連する最新のPubMed論文を5つリストアップし、それぞれ300字で要約してください」と指示するだけで、効率的な情報収集ができます。

4. スタッフ教育のマニュアル作成

新人スタッフ向けの研修資料や院内の業務マニュアル作成も効率化できます。基本的な手順だけでなく、「〇〇先生の診察介助の手順」など院内の個別ルールも、要点を伝えるだけで簡単に作成可能です。

5. 医療事務・広報活動の効率化

医療事務や広報活動にもChatGPTは役立ちます。例えば、患者から寄せられる「診療時間の問い合わせ」や「予防接種の予約方法」などへの回答テンプレートを作成できます。

また、クリニックのWebサイトに掲載する健康情報コラムやブログ記事の下書きを作成させることも可能で、広報活動の負担を軽減します。

【コピペOK】実践プロンプト集

ChatGPTの回答の質は、指示文(プロンプト)によって変わります。質の高い回答を引き出すための基本的な型と具体的なシーンですぐに使えるプロンプトのテンプレートを紹介します。さらに、応用編として回答の精度をさらに上げるコツも解説します。

 

【基本編】プロンプトの型

よい回答を得るためには、ChatGPTに役割と具体的な条件を与えることが重要です。例えば、以下のようなプロンプトが基本的な型です。

#命令書

あなたは[役割]です。以下の制約条件と入力文をもとに、最高の[成果物]を出力してください。

#制約条件

・[箇条書きで条件を指定]

・[箇条書きで条件を指定]

#入力文

[ここに具体的な情報や文章を記述]

#出力文

[ここに期待する出力形式を記述]

※[役割]・[成果物]には出力したいものや求める役割を入力してください。

【シーン別】プロンプトテンプレート

紹介状作成や患者説明資料を作成するためのプロンプト例を紹介します。

紹介状作成

#命令書

あなたは経験豊富な○○医です。以下の患者情報をもとに、○○病院呼○○科宛ての正式な診療情報提供書を作成してください。

#制約条件

・一般的な診療情報提供書の形式に従うこと(患者基本情報、主訴、現病歴、既往歴、検査所見、治療経過、紹介目的などを明記)。  

・医学用語は正確に記載すること。  

・文体は「です・ます」調とすること。

・紹介目的を明確に記載すること。  

#入力文(例)

・患者: 田中太郎、65歳男性

・主訴: 2週間続く湿性咳嗽と微熱  

・現病歴: 近医にて抗菌薬投与されたが改善なし。胸部X線で右下肺野に浸潤影あり。  

・紹介目的: 精密検査および加療のため。  

患者説明

#命令書

あなたは、患者に寄り添うコミュニケーションの専門家です。以下の病状と治療法について、高校生にも理解できるように、優しい言葉で説明する文章を作成してください。

#制約条件

・文字数は300字以内。

・難しい漢字や専門用語は使わない。

・例え話を一つ入れること。

#入力文

病名:気管支喘息

治療法:吸入ステロイド薬による長期管理

#出力文

【応用編】回答の精度を上げるコツ

期待通りの回答が得られない場合、「思考プロセスの言語化」や「例示」によって回答の精度を上げられます。

思考プロセスの言語化とは、「Step by stepで考えてください」と一文加えてAIが結論に至るまでの過程を文章化する方法です。論理性が増し間違いにも気づきやすくなる効果があります。

「例示」とは、期待する回答の例をいくつか示すことで、AIがアウトプットの形式やトーンをより正確に理解できます。

医療現場でのChatGPT活用で生じるリスク対策

ChatGPTは便利なツールですが、医療現場で安全に活用するためには、リスクの理解と対策が不可欠です。以下の遵守すべきルールを、具体的な対策とともに解説します。

  • 個人情報・機密情報の保護
  • 誤情報(ハルシネーション)への対策
  • 院内利用ルールの策定

1. 個人情報・機密情報の保護

患者の個人情報や機密情報がChatGPTを通して漏えいしないように対策が必要です。

対策として、ChatGPTの設定で「チャット履歴と学習」をオフにする機能が有効です。設定をオフにすると、入力したデータがAIの学習に使われる事態を防げます。

しかし、何よりも「匿名化されていない患者情報は絶対に入力しない」という院内ルールを徹底することが、情報漏えいを防ぐための基本原則です。

2. ハルシネーション(誤情報)への対策

ChatGPTは、事実にもとづかない情報を生成する「ハルシネーション」を起こす可能性があります。例えば、薬剤の投与量を間違えるといった事例もあります。

AIが生成した内容はあくまで「下書き」と捉え、必ず資格を持つ医療専門家が最終確認を行うプロセスを徹底しましょう。

3.院内利用ルールの策定

組織として安全な利用体制を構築するためのルール策定も不可欠です。例えば、策定しておくべきルールは以下のとおりです。

  • 利用できる業務範囲
  • ハルシネーションを発見した場合の報告手順
  • 患者からAI利用について質問された際の回答

院内でルールを統一しておくことで、スタッフ全員が安心してツールを活用できます。

プロンプト不要!「話すだけ」でカルテ作成を自動化するAIツール

音声入力AIのイメージ

ChatGPTは業務効率化につながる一方で、セキュリティ対策を講じても情報漏えいのリスクが気になる方も多いでしょう。

プロンプト作成の手間やセキュリティリスクの心配なく、さらに簡単にカルテ作成を自動化できる方法がAI音声クラークです。診察中の会話を録音するだけでSOAP形式のカルテが下書きされるため、プロンプト不要かつ安全な環境で、カルテ作成業務を自動化できます。

AI音声クラークについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

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医療現場でも生成AIによる業務効率化を進めましょう

ChatGPTは文書作成や論文検索などを効率化し、医師が患者と向き合う時間を創出するためのツールです。

効率的な活用のためには、適切なプロンプトを与えることやセキュリティ対策が求められます。今回紹介したプロンプト例や活用の注意点を参考に、自院の診療業務を効率化する方法を見つけてみてください。

また、カルテ作成を効率化したい場合はAI音声クラークの導入がおすすめです。ヒーローイノベーションでは、話すだけでカルテ作成が自動化できる「MEDISMA AIクラーク」を提供しています。無料オンライン相談を実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

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著者PROFILE

スマートクリニック事業推進室長 原拓也
スマートクリニック事業推進室長 原拓也
医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、クリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。