話すだけでカルテが完成する時代へ|AIで実現する患者ファースト診療の実現

話すだけでカルテが完成する時代へ|AIで実現する患者ファースト診療の実現

  • 2025年7月28日
  • AI

患者ファーストの診療が求められる中、医師は電子カルテの入力作業に追われ、患者さんと十分に対話できない課題を抱えています。

実際に、電子カルテ入力や事務作業の増加により、医師が患者さんと目を合わせる時間が減ったという声も上がっています。

こうした問題を解決するのがAI音声入力「メディスマAIクラーク」。

話すだけでカルテが完成し、医師は患者と向き合う時間を取り戻せます。  

本記事では、患者ファースト診療を実現するAIの最新技術と活用メリットを解説します。

音声入力は情報記録の未来形

AIの音声入力の進歩により、医師が患者さんと「話す」だけで電子カルテに自動的に記録できるようになりました

医師法条第241項に「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」とあり、医師は診察後、すぐにカルテに記録していく必要があります。

また、医師の記録には次のような目的があります。

  • 患者さんの診療状況や経過の正確な把握
  • 医療過誤や事故が発生した場合の証拠
  • 診療報酬の請求

カルテは単なるメモとは異なり、このようにさまざまな役割を担っているため、医師は患者さんの話を聞きながら瞬時に記載内容を判断して誤記なく入力していくのが一般的です。

しかし、タイピングが苦手な医師の場合、タイピングに意識が集中してしまい、患者さんにしっかりと向き合って診察できないこともあります。

クリニックによっては、医療クラーク(*)を採用し、カルテの代行入力を行っていますが、人件費や教育にもコストがかかるため採用に踏み切れないケースも少なくありません。

一方、音声入力では、話すだけで記録が形になるため、医師はカルテの入力の手間がなくなります

導入することでタイピングや文章を考える労力がなくなり、医師が病状をより詳細に把握したり、患者さんへの説明に専念できたりすることで、より質の高い医療提供につながります。

医師が患者さん一人ひとりにしっかり対応することで、患者さんも安心して受診できるようになるため、患者満足度の向上が見込めるでしょう。

*医療クラーク:医師事務作業補助者のこと。医師の事務作業をサポートするための事務職員で、医師の指示のもと業務を行う。

「書く医師」から「話す医師」へ

診察中、医師は患者さんの話を聞きながら、電子カルテの画面を見てキーボードを打つ、という複雑な「ながら作業」をしています。

しかし、音声入力を使用した場合、診察の前に録音ボタンを押すだけで、AIが診察内容を聞き取り、自動で記録してくれます。

診察後に入力内容を確認し、必要に応じて修正するだけでカルテが完成するのです。

これにより、医師は一から記録を入力する手間がなくなるため、身体的な負担も軽減します

実際に、あるクリニックの医師は、長時間の電子カルテの操作により体の不調を訴えていました。

しかし、音声入力を導入してから、カルテ入力による肩こりや眼精疲労などの症状が改善したといいます。

音声入力を導入することで、こうした負担を軽減し、医師は目の前の患者さんとの対話にしっかり向き合うことが可能になります。

また、診察が終わった後にカルテを入力する手間がなくなるため、患者さんの待ち時間も短縮できます。

このように話すだけで記録が完了する診療スタイルに変われば、医師はより丁寧に話を聞けるようになるため、患者さんの信頼感も自然に高まっていくでしょう。

情報は「聞く」「分析する」「再構築する」の時代

カルテへの診療情報の記録には、患者さんとの対話して得た内容を的確に反映させることが重要で、単なる覚え書きではありません。

カルテの記載形式でよく使用されているのがSOAP形式です。

 

単語

意味

内容

S

Subject

主観的情報

患者さんが訴えている情報

O

Object

客観的情報

患者さんの身体的な情報

A Assessment

評価

S、Oをもとに思考過程を評価

P

Plan

計画

今後の治療方針

医療機関のカルテ記載では、このSOAP形式の4項目を使用することで、内容を整理しやすくなります。

医師は診察しながら、患者さんの話をこの形式に当てはめて記載しています。

AIの音声入力の特徴は、医師と患者さんの会話をAIが聞き取り、必要な情報をSOAP形式にまとめてくれる点です。

音声入力を活用すれば、患者さんの話に集中できるうえ、入力の手間が省けるため、診察時間の短縮や業務負担の軽減にもつながります。

医師の働き方を見直すことにきっかけにもなるでしょう。

「情報入力とコミュニケーションを分離する」ことの意義

従来のように医師が一人で患者さんの話を聞いて、入力する文章を考えて、カルテに打ち込むといったスタイルでは、どうしてもコミュニケーションが不足しがちでした。

令和5年に実施された厚生労働省の受領行動調査によると、診察に満足していると答えた人は、以下のことに満足しています。

  • 医師による診療 、治療内容 
  • 医師との対話 
  • 医師以外の病院スタッフの対応

つまり、診察時に医師と十分にコミュニケーションが取れるほど、患者さんの満足度が高いことが明らかになりました。

AIがSOAP形式に従って医師と患者さんの会話を入力することで、診察に集中できるようになります。

患者さんの状態をじっくり観察しながら診察できるようになるため、従来の入力優先の診療から対話優先の診療へと変化していくでしょう。

また、カルテは、診察の記録として診療報酬を請求する根拠になります。

カルテへの情報入力と対話を明確に分けることで、診察中にコミュニケーションを取りやすくなり、患者さんも安心して治療を受けられるようになります。

「メディスマAIクラーク」が実現する「ケアの時間」

AIによる音声入力ツールとして「メディスマAIクラーク」があります。

これは、医師と患者さんとの会話をリアルタイムに解析し、SOAP形式に沿ったカルテを自動生成するAI音声入力システムです。

外来診療から訪問診療まで幅広く対応し、入力の必要がないため、診療の流れを止めることなくカルテの記載を完了できます。

これにより、医師はカルテへの記録作業に追われず、患者さんとの対話に集中できます。医師との対話は、患者さんの安心感につながり、診療の質を高めることが可能です。

メディスマAIクラークの登場により、AI音声入力を前提とした「対話優先の診療スタイル」が今後増えていくでしょう。

貴院においても医師の業務負担を軽減し、患者ファーストの診療を実現するために「メディスマAIクラーク」の導入を、選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

クリニックでは、限られた時間とスタッフの中で質の高い診療を提供することが、集患のカギとなっています。

そこで注目されているのが、AIの音声入力を使って、電子カルテを自動的に記録する仕組みです。

音声入力の導入により、医師はカルテの記録の手間が解消され、話すだけでカルテが作成される診察が可能になります。

これにより、患者さんとの対話を優先できる「患者ファースト」の医療が実現するのです。

AIによりSOAP形式に沿った情報整理ができるため、診療内容をわかりやすく記録できます。

これにより、診療中にパソコンの画面を見る時間が減り、患者さんの目を見てしっかり向き合えるため、信頼感が生まれ、医療の質も向上します。

「メディスマAIクラーク」の導入により、診療の流れを止めずにカルテの記録と対話の両立が可能です。音声入力とAIの組み合わせは、これからのクリニック運営において、よりよい医療を提供するための強力な推進力となるでしょう。

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<参考サイト・文献>

保険診療と個別指導(医科)第2回|厚生労働省

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/news/000269416.pdf

令和5年度 受領行動調査|厚生労働省 

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/23/dl/kakuteisu-gaikyo2023.pdf

著者PROFILE

スマートクリニック事業推進室長 原拓也
スマートクリニック事業推進室長 原拓也
医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、クリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。