LINE問診票の作り方を3ステップで解説!メリットや限界も紹介

LINE問診票の作り方を3ステップで解説!メリットや限界も紹介

「LINE」のアイコンが表示されているスマートフォンの画面

「普段使っているLINEで、無料でWeb問診ができないか?」などLINEの活用で問診を効率化をしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

LINE公式アカウントと無料のGoogleフォームを組み合わせるだけで、オリジナルの問診票を作成できます。

本記事では、LINEを活用した問診票の作り方を3ステップで具体的に解説します。さらに、LINE問診票の限界と、本格的な業務改善につなげるポイントまでを紹介していますので、参考にしてみてください。

LINE問診票の作り方3ステップ

チャットアプリが表示されているイメージ画像

LINE問診票は、専門的な知識がなくても、既存の無料ツールを組み合わせて作成できます。GoogleフォームとLINE公式アカウントを連携させる方法を3つのステップで解説します。

  • ステップ①:Googleフォームで問診票を作成
  • ステップ②:回答をスプレッドシートに自動連携
  • ステップ③:LINE公式アカウントとリンク設定

ステップ①:Googleフォームで問診票を作成

はじめに、問診票本体をGoogleフォームで作成します。Googleアカウントにログインし、Googleドライブから新規にGoogleフォームを作成しましょう。患者が入力しやすいよう、具体的で分かりやすい設問を設定することが重要です。

問診表の作成手順

Googleフォームで新しいフォームを作成したら、質問を追加します。項目名に質問事項を入力し、入力形式を指定します。入力形式には、ユーザーが入力できる記述式や、選択肢の中から選ぶチェックボックスなどがあります。

Googleフォーム入力方法の説明

「当てはまる症状」など、複数の症状を選択してもらう場合は選択肢を一つずつ追加します。

Googleフォーム入力方法の説明

また、各設問は以下のように「必須」に設定することで、記入漏れを防げます。

Googleフォーム入力方法の説明

問診票の項目例

Googleフォーム入力方法の説明

  • フォームのタイトル: 「【〇〇クリニック】WEB問診票」のように設定します。
  • フォームの説明文:問診を行うメリットや目的を記載します。
  • 基本情報の設問
    • 「お名前(ふりがな)」
    • 「生年月日」
    • 「性別」
    • 「電話番号」
  • 症状に関する設問
    • 本日の症状(最もお困りのこと)
    • 「当てはまる症状(複数選択可)」
    • 「症状はいつからですか?」
  • 既往歴・アレルギーなど
    • 「治療中の病気や過去の大きな病気・手術」
    • 「お薬や食べ物のアレルギー」

具体的な問診項目の設定や診療科別に適した項目例については、以下の記事もご覧ください。

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【診療科別の項目例も】Web問診票の作り方は?作成ポイントを解説

ステップ②:回答をスプレッドシートに自動連携

次に、問診票への回答が自動で記録されるように設定します。フォーム編集画面上部の「回答」タブからスプレッドシートのアイコンを押し、「スプレッドシートにリンク」を選択しましょう。患者からの回答がリアルタイムで一覧に集約されるようになります。

Googleフォームからの取り込み方法の説明

収集した問診データをより見やすく管理するには、AppSheetの活用も有効です。回答が保存されたスプレッドシートをもとに、患者ごとの回答をカード形式で表示するなど一目で確認しやすいツールです。

ただし、AppSheetの運用には注意点もあります。フォームに新しい回答があっても、アプリには自動で反映されないため、受付スタッフが手動で同期操作を行う必要があります。更新の手間が、受付業務の負担になる可能性があります。

ステップ③:LINE公式アカウントとリンク設定

最後に、作成した問診票を患者が利用できるようにします。まず、Googleフォームの右上にある「公開」ボタンから、鎖マークのアイコンを選択して、問診票のURLをコピーします。

Googleフォームのリンク取得方法の説明

次に、LINE公式アカウントの管理画面にログインし、トーク画面下部に固定表示される「リッチメニュー」を作成します。「WEB問診はこちら」のようなボタンを設置し、アクションに「リンク」を選択して、先ほどコピーしたGoogleフォームのURLを貼り付ければ完了です。

LINE公式アカウントをまだ導入していない場合は、弊社で導入のサポートも行っております。お気軽にご相談ください。

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LINE問診票を導入する3つのメリット

LINE問診票を導入することで得られるメリットは以下の3つです。

  • 待ち時間を短縮できる
  • 紙や印刷代など年間6万円以上のコストを削減
  • 公式LINEを活用した情報発信につながる

1. 待ち時間を短縮できる

LINE問診票を導入する最大のメリットは、待ち時間の短縮です。患者は自宅や移動中など、好きなタイミングで問診を済ませられます。来院時に問診票を記入する手間が省けるため、受付から診察までの流れがスムーズになるでしょう。

体調の悪い患者や時間に制約のある患者にとって、院内滞在時間の短縮は満足度の向上に直結します。

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【診療科別】事前問診を導入する効果は?Web問診のメリットを解説

2. 紙や印刷代のコストを削減

紙の問診票をなくすことで、直接的なコスト削減が可能です。

問診票の用紙代や印刷にかかるインク・トナー代が不要になります。例えば、1日に50人の患者が来院するクリニックの場合、問診票1枚あたりのコストを5円と仮定すると、年間で約6万円の消耗品費を削減できる計算です。

さらに、問診票を保管するためのファイルやキャビネットも不要になり、院内のスペースを有効活用できます。

3. 公式LINEを活用した情報発信につながる

LINE問診票の利用は、患者にLINE公式アカウントを友だち追加してもらう自然なきっかけになります。

公式LINEから発信するお知らせや情報がより多くの患者に届き、再診率の向上につながります。例えば、予約のリマインダーやワクチンの案内、健康に関する情報などを配信することで、来院を促すことが可能です。

LINE問診票の限界は?Web問診システムで業務を自動化

LINE問診票は、無料かつ手軽に始められますが、本格的な業務効率化を目指す上では限界もあります。無料での運用で直面する課題と、電子カルテ連携などが可能な有料のWeb問診で実現できる業務効率化について解説します。

  • 無料で運用したときに直面する「3つの壁」
  • 電子カルテ連携で転記作業をゼロに
  • 失敗しない有料サービスの選び方3つのポイント

1. 無料で運用したときに直面する「3つの壁」

無料ツールでの運用では、主に3つの課題が生じます。

  • 問診回答の電子カルテへの転記
  • 誰が回答したかの確認の手間
  • セキュリティ面の懸念

1つ目は、問診の回答を電子カルテへ手作業で転記する必要がある点です。電子カルテと連携しておらず、スプレッドシートやAppsheetに集計された結果を転記しなければなりません。

2つ目は、Googleフォームの回答者とLINEの友だち情報が自動で紐付かないため、誰が回答したのかを別途確認する手間がかかります。最後に、医療情報という機微な個人情報を取り扱う上でのセキュリティ面の懸念が挙げられます。

LINE問診票を導入しても、「かえって負担が増えた」「セキュリティ面の不安が残る」など業務の質低下につながるおそれもあるでしょう。

2. 電子カルテ連携で転記作業をゼロに

有料のWeb問診システムの利点は、電子カルテとの連携機能です。患者が回答した問診内容を、電子カルテに直接取り込めるため、受付スタッフの転記作業が不要になり、入力ミスも防げます。

その他にも、問診票の豊富なテンプレートや患部写真のアップロードなど、さまざまな機能があります。

有料サービスの導入で、スタッフの業務負担を軽減し、より付加価値の高い患者対応に集中できるでしょう。

3. 失敗しない有料サービスの選び方3つのポイント

自院に合った有料サービスを選ぶ際は、次の3つのポイントを確認しましょう。

  • サポート体制が充実しているか
  • 医療情報ガイドラインに準拠したセキュリティ対策が十分か
  • 自院の電子カルテと連携可能か

サポート体制やセキュリティ対策に加えて、特に重要なのが「自院で本当に使えるのか」という点です。問診内容のカスタマイズ性や多言語対応など、柔軟な機能が充実しているかを重視して選びましょう。

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LINE問診票を導入した後のよくある質問と解決策

Q&A

LINE問診票を導入した後にありがちな、よくある質問と解決策をまとめました。事前に対応方法を準備し、全スタッフで共有することで、スムーズな運用が可能になります。

Q. スマホがない患者さんにはどう対応する?

スマートフォンを持たない、あるいは操作に不慣れな患者への配慮は不可欠です。来院前に問診を済ませていない患者のために、院内にタブレット端末を用意し、その場で入力してもらう方法があります。

高齢者など自身での操作が難しい場合は、受付スタッフが聞き取りながら代理で入力する対応も有効です。いかなる状況にも対応できるよう、少数の紙の問診票も準備しておくと万全でしょう。

Q. LINE問診票で蓄積したデータの活用方法は?

Googleスプレッドシートに蓄積された問診データは、クリニックの経営改善に役立つ情報源です。

例えば、フィルタ機能を使えば、特定の症状を訴える患者を抽出できます。また、ピボットテーブルを使えば、年代や性別の患者層を分析することも可能です。

蓄積したデータの分析から、季節ごとの疾患トレンドを把握し、院内の掲示物や情報発信に生かせます。

Q. 回答によって次の質問を変えることはできますか?

無料ツールでは、回答内容によって質問を分岐させる機能は限定的です。そのため、複雑な問診票の作成には向いていません。

診療科に特化した詳細な問診や、高度な条件分岐を活用したい場合は、専用の有料サービスを検討する必要があります。

Web問診ツールは何を効率化したいかによって決めましょう

悩んでいる男性医師

LINE問診票は、Googleフォームを活用することで無料かつ手軽に作成できます。スプレッドシートで問診内容の確認ができ、公式LINEアカウントへの友だち追加のきっかけにもなります。

一方で、電子カルテ連携や豊富なテンプレートの使用、高度な条件分岐などは無料での運用には限界があります。「何を効率化したいか」を明確にしてから運用するツールを決めましょう。

例えば、「問診で必要事項のみ把握しておきたい」という場合はLINE問診票から始める。「診療科に特化した詳しい問診で、診察の質を上げたい」という場合は有料のWeb問診システムがおすすめです。

ヒーローイノベーションでは、現場の医師が開発したWeb問診システム「メルプWEB問診」を提供しています。豊富なテンプレートとカスタマイズ性で、自院に最適な形での運用が可能です。ご相談は無料で承っていますので、お気軽にお問い合わせください。

メルプWEB問診

著者PROFILE

スマートクリニック事業推進室長 原拓也
スマートクリニック事業推進室長 原拓也
医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、クリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。