健康診断のWeb問診で業務はどう変わる?導入メリットと選び方を解説

健康診断のWeb問診で業務はどう変わる?導入メリットと選び方を解説

健康診断を受ける男女

健康診断を行う機関やクリニックでは、問診票の数や種類が多く、入力作業に手間が生じやすいでしょう。問診票の転記に時間を要するだけでなく、入力ミスが健診データの信頼性を損なう可能性もあります。

健康診断の問診票に関する作業は、Web問診の導入により改善できる場合があります。しかし、「実際に導入する効果はあるのか」「どのシステムがおすすめなのか」など疑問に感じる担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、健康診断におけるWeb問診導入のメリットや、自院に最適なシステムの選び方を解説します。健康診断の問診に関して、業務効率化したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

健康診断の問診で抱えがちな悩み

血圧測定をする医師と患者

健康診断の問診で抱えがちな課題として、以下の3つが挙げられます。

  • 問診データを転記する負担が大きい
  • 企業ごとに問診票やオプションの内容が異なる
  • 待ち時間の増大で受診者の不満につながりやすい

1. 問診データを転記する負担が大きい

紙の問診票では、記載内容を判読してカルテに転記する作業がスタッフの負担となります。データ入力に加えて、記入漏れや誤記の修正が多大な業務負担になりがちです。スキャナーやカメラによるOCRの活用もされていますが、読み取り間違いが生じるため、結局修正の手間が生じます。

転記の際の確認や修正作業はスタッフを疲弊させるだけでなく、ミスにもつながります。手書きの文字を誤読してしまうケースもあり、健診データの信頼性にもかかわります。受診者とのトラブルに発展するおそれがあるため、注意が必要です。

2. 企業ごとに問診票やオプションの内容が異なる

健診機関は、多数の法人契約を抱えていることが少なくありません。企業ごとに基本検査やオプションが異なるため、問診票には独自の質問項目が含まれます。 例えば、企業独自で人間ドックのような複雑なオプションを設けている企業や、業種によっては定期健診以外の特殊健診を行う企業もあります。

「どの受診者にどの問診票が必要か」という管理業務がスタッフの負担になりがちです。

3. 待ち時間の増大で受診者の不満につながりやすい

受付での問診票の記入や確認作業により、待ち時間が生じます。健康診断では、自覚症状のない健康な受診者に対しても多くの質問を行うため、問診項目が多くなりがちです。健診まで待たされることは、受診者の不満につながりかねません。

健康診断でWeb問診を活用するメリット

聴診器

問診データの転記や企業ごとの対応、待ち時間の問題など、健康診断での問診には課題が生じがちです。課題を解決するために効果的なのがWeb問診です。

Web問診は、受診者が健診前にWeb上で問診票に記入できるシステムです。受診者の属性や状態に合わせて、必要な質問項目を最適化できるため、問診時間の短縮につながります。Web問診については、以下の関連記事も参考にしてみてください。

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【簡単解説】Web問診とは?メリット・デメリットや選び方を解説

健康診断でWeb問診を活用する具体的なメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 業務効率化とデータ品質が向上する
  • 入力や待ち時間が減少し受診者の満足度が向上する
  • 契約企業のニーズに合わせた対応で差別化できる

1. 業務効率化とデータ品質が向上する

Web問診の導入により、業務効率化とデータ品質の向上が見込まれます。手書きやOCRデータの誤読が少なくなり、確認と修正作業の手間も減ります。健診から結果報告までにかかる時間が短縮され、サービスの質も向上するでしょう。

2. 入力や待ち時間が減少し受診者の満足度が向上する

受診者は自宅で問診を完了できるため、待ち時間が短縮されることで満足度が高まります。また、多くのWeb問診システムでは、2回目以降の受診時に前回の回答内容が自動反映される機能があります。継続受診者の入力負担が軽減され、リピート率の向上につながるでしょう。

3. 契約企業のニーズに合わせた対応で差別化できる

契約企業に対しては、特殊健診への柔軟な対応が可能になります。企業ごとにテンプレートを作成して管理したり、問診票の専用URLを発行したりする機能があります。企業のニーズに合わせた問診票作成を効率化できるため、契約企業の満足度も高まるでしょう。

また、Web問診から集めたデータは、CSV形式での出力やグラフ化が可能です。質問項目によっては、受診者アンケートとして活用できるため、受診状況や感想などのフィードバックを企業に行えます。

健康診断の実施に留まらない柔軟なサービス提供ができるため、他機関との差別化につながります。

Web問診を有効活用するための健康診断実施のポイント

聴診器を当てる医師

Web問診を活用した健康診断はどのように行うのでしょうか。Web問診を新たに導入する際の流れについて、以下の3つのポイントを解説します。

  • 1.導入目的を明確にし、院内で共有する
  • 2.事前回答のメリットを伝え、利用率を高める
  • 3.法人契約に特化した運用で、BtoBサービスを強化する

1.導入目的を明確にし、院内で共有する

Web問診を導入することで、「何を達成したいか」を明確にし、院内で共有します。院内での協力体制を構築してスムーズに導入するとともに、システム選定の判断基準が具体化されます。例えば、以下のような目的を設定しましょう。

  • 業務効率化:数多くの受診者の問診票を迅速かつ正確に処理したい
  • 契約企業へのサービス向上:他機関との差別化をはかりたい
  • 受診者へのサービス向上:問診記入から予約、会計までストレスの少ない健診受診を提供したい

目的を決める際には、現場の課題を聞き取り施策に反映することが大切です。

2.事前回答のメリットを伝え、利用率を高める

IT機器になじみのない受診者には配慮が必要です。一定期間は紙の問診票と並行して運用したり、院内にタブレット端末を用意したりするなどの対策が求められます。

また、受診者に事前回答のメリットを伝えることも大切です。Webサイトや予約確認メールで「事前に回答すれば当日の待ち時間が短縮される」というメリットを強調しましょう。紙の問診票と比べて何分短縮されるか、具体的な数字で示すとより効果的です。

3.問診項目を絞って「回答疲れ」を防止する

健康な受診者に対しても多くの質問を行う健康診断では、問診項目が多すぎると「回答疲れ」を引き起こします。回答の質低下や入力途中での離脱につながる可能性があるため、必要な項目に絞ることが大切です。

院内で聴取すべき情報と、Web問診で収集する情報を切り分けて、最適な質問設計を行いましょう。多くのWeb問診では、ドリルダウン方式という受診者の回答に応じて適切な質問を表示できることが一般的です。必要な項目に絞れるよう、条件分岐を駆使した事前の質問設計が求められます。

Web問診票の作り方については、以下の関連記事もご覧ください。

▼関連記事:

【診療科別の項目例も】Web問診票の作り方は?作成ポイントを解説

【失敗しない】健診機関向けWeb問診システム選びのポイント

問診でメモを取る医師

自院の健診業務にマッチするシステム選びの基準として、以下の3つが大切です。

  • 健診システムや電子カルテとの連携性
  • 多様な健診コースや契約内容に対応できるカスタマイズ性
  • セキュリティとサポート体制

1. 健診システムや電子カルテとの連携性

健診システムや電子カルテなど、既存システムとの連携は業務効率に大きく影響するため、大切な判断基準の一つです。ベンダーの説明をうのみにせず、「既存システムとの確実な連携実績があるか」「問診票の反映にかかる時間はどれくらいか」など具体的に確認しましょう。

【チェックポイント】

  • 問診票を既存システムに連携する際の秒数
  • CSVデータ出力の有無
  • Web問診システムと予約システムの連携性

2. 多様な健診コースや契約内容に対応できるカスタマイズ性

契約企業の健診項目や人間ドックなど、多様なメニューに対応できるカスタマイズ性が重要です。企業ごとのテンプレート機能や専用のURL発行機能など、契約内容に合わせた柔軟な対応が可能かを確認しましょう。

また、受診者の「回答疲れ」を防ぐため、条件分岐がどれくらい可能かも大切です。例えば、性別に応じて婦人科系の質問を表示したり、脳ドックを希望検査として選択した場合のみ検査の説明を示したりするなど、属性やオプションによる分岐設定ができると質問項目を限定しやすいです。

【チェックポイント】

  • テンプレート機能の有無
  • 条件分岐設定が自院の運用に合わせて柔軟に行えるか
  • テンプレートの編集や条件分岐設定が誰でも行える操作性か

3. セキュリティとサポート体制

健康診断のWeb問診システムでは、膨大な個人情報を一元的に集約するため、サイバー攻撃の標的になりやすい場合があります。そのため、ベンダーが厚労省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠しているかの確認は不可欠です。

また、健診の繁忙期にシステムトラブルが発生した場合、迅速に対応できる体制があるかも事前にチェックしておきましょう。

【チェックポイント】

  • 厚生労働省のガイドラインに準拠したセキュリティ対策がされているか
  • トラブル発生時の対応可能時間
  • システムトラブルに加えて医療業務に即した質問にも対応できるか

複雑な健診メニューにも柔軟に対応できる「メルプWEB問診」

笑顔で見上げる看護師

健康診断の問診が抱える転記作業の負担や企業ごとの管理、待ち時間などの課題は、Web問診により解決できる可能性があります。業務効率化はもちろん、受診者や契約企業へのサービス向上にもつながり、他機関との差別化をはかる上で効果的な方法です。

Web問診システムの導入には、目的を明確にし、既存システムとの連携性やカスタマイズ性、安心できるセキュリティ体制の観点から自院に適したシステムを選びましょう。

株式会社ヒーローイノベーションがご提供するメルプWEB問診は、連携やカスタマイズのしやすさに定評のあるシステムです。CSV出力にも対応しており、既存のフローを大きく変えることなく導入が可能です。導入をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

メルプWEB問診

著者PROFILE

スマートクリニック事業推進室長 原拓也
スマートクリニック事業推進室長 原拓也
医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、クリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。