2026年6月から選定療養の予約診療でキャンセル料徴収が可能に|病院やクリニックの条件と方法を解説
- 2026年6月5日
- Web予約

「診療予約のキャンセル料は自分のクリニックでも請求できるのか判断できない」「どのようにキャンセル料をもらえばいいのか分からない」
そのような悩みを抱える院長先生やクリニックのスタッフは少なくありません。
予約診療のキャンセルは、準備した機材やスタッフの人件費の無駄につながり、クリニック経営に影響します。
このたび選定療養の予約に基づく診察については、一定の条件のもと患者都合による直前キャンセル料を徴収できることが明確化されました。このキャンセル料は、一般的な予約すべてが対象になるわけではない点に注意が必要です。
本記事では、選定療養における予約診療のキャンセル料を請求する条件や方法、料金の目安などを解説します。また、請求できないケースやトラブルを防ぐ方法も併せて紹介してますので自院で導入する際の判断資料としてお役立てください。
目次
2026年6月から選定療養の予約診療でキャンセル料徴収が可能に
2026年6月1日より、地方厚生局に届け出た「選定療養おける予約に基づく診療」において患者都合で直前にキャンセルした場合に、診療予約のキャンセル料の徴収が認められるようになりました。
もともと予約料を徴収できる制度(選定療養の予約診察制度)はあり、令和6年8月時点で928件の医療機関が届け出ています。今回の改正はこの制度を前提に、診療予約のキャンセル料請求を認めたものです。
なお、当初の通知は表記が「どの予約でも対象になる」といった憶測をまねき現場に混乱が生じたため、厚生労働省は訂正通知を発出しています。制度を正しく理解するには通知内容の確認が必須となっています。
診療予約のキャンセル料を導入できる病院やクリニックの条件
どのクリニックでも請求できるわけではなく、予約キャンセル料を導入するには、以下の要件や運用条件を満たさなければなりません。制度の要件を満たせなければ、患者さんとのトラブルや行政指導のリスクも生じます。
選定療養の予約に基づく診察であること
今回の制度改正の対象は、選定療養として実施している予約に基づく診察です。
一般的な外来予約や通常の保険診療予約は対象ではありません。まずは自院が選定療養の予約診療として運用しているか確認する必要があります。
予約に基づく診療として地方厚生局への届け出
予約キャンセル料を徴収するには、地方厚生局への届け出が求められます。
届け出なしに請求した場合、違法な徴収とみなされる可能性があります。
キャンセル料の徴収は義務ではなく、導入するかどうかはクリニックが選択できる仕組みです。導入を決めた場合は、速やかに届け出の手続きを進めましょう。
ホームページや予約画面への掲示
キャンセル料の金額や発生条件、支払い方法などをホームページや院内の見やすい場所、予約システムの画面に掲示して、患者さんがいつでも確認できるようにする必要があります。
掲示が不十分な場合、「説明を受けていない」「キャンセル料がかかることを知らなかった」という認識のずれが生じ、患者さんとのトラブルに発展しやすくなります。
費用徴収に関する患者からの同意取得
予約時点で、患者さんからキャンセル料の徴収に関する同意を取得する必要があります。例えば、以下のタイミングで事前に合意する方法があります。
- 初診予約時の同意チェック
- WEB予約画面での表示と同意ボタン
- 受付時の書面説明
同意がない場合、患者さんに診療予約のキャンセル料を請求できません。
WEB予約システムを活用している場合は、予約フロー内に同意取得のステップを組み込む設計が現実的です。
診察日の直前(前日・当日)のキャンセルであること
診療予約のキャンセル料が発生するのは、「診察日の前日・当日のキャンセル」や「無断キャンセル」など、直前のケースが中心です。数日前までに余裕をもって連絡があったキャンセルは対象外となる可能性があります。
具体的なタイミングはクリニックが設定できますが、直前の基準を明らかにしてホームページや同意書に記載しておくことが重要です。
患者都合のキャンセルであること
患者さんの都合によるキャンセルが対象です。例えば、以下のようにクリニック側の都合によるキャンセルは通常は対象外として扱われます。
- 医師の急病や体調不良による診療中止
- 設備トラブルやシステム障害による休診
- 台風や災害などでやむを得ず診療を中止した場合
また、患者さんの急病や体調不良など、やむを得ない事情によるキャンセルは請求対象から外す運用をしているところもあります。
どこまでを対象とするかは施設ごとに差が出やすいため、あらかじめルールとして整理しておくことが望まれます。
病院やクリニックが設定する診療予約キャンセル料の目安
病院やクリニックが選定療養における予約に基づく診察にキャンセル料を設定する場合、金額にも一定の考え方があります。金額設定に関するルールや考え方について解説します。
詳しい金額は定められていない
厚生労働省の通知や法律では、キャンセル料の金額は定められていません。
金額設定はクリニックに委ねられており、診療内容や地域の実情、予約枠などを考慮して自院で決定します。
目安は「社会的に見て妥当適切な金額である」こと
徴収額の目安は「社会的にみて妥当適切なもの」とするよう定められています。
具体的な金額は医療機関ごとに設定できますが、診療内容や予約枠の確保に伴う負担を踏まえた金額であることが一般的です。
例えば、高価な使い捨て材料や滅菌された器具を使用する処置、多くのスタッフが準備に関わる検査では、一般診療とは異なる金額を設定するケースもあります。
不当に高額な設定は患者さんとのトラブルにつながる可能性があるため、スタッフの人件費や準備にかかるコストなどを踏まえ、自院の実情に合わせて設定することが重要です。
病院やクリニックが診療予約のキャンセル料を請求する流れ
診療予約のキャンセル料を導入する際は、以下の流れで準備を進めます。
- 地方厚生局に届け出る
- ホームページや予約システムにキャンセルポリシーを掲示する
- 患者さんへ説明し同意を得る
- キャンセル料発生時に料金を徴収し領収書へ明記する
特に、キャンセル料の発生条件や金額は事前に分かりやすく説明し、同意を得ておくことが大切です。適切な手順で導入することで、患者さんからのクレームやトラブルを防ぎながら円滑に運用できます。
トラブル防止!病院やクリニックで診療予約のキャンセル料が発生しないケース

診療予約のキャンセル料は、「予約をキャンセルしたら必ず発生する」と誤解されることがあります。
しかし、医療機関の運用方針やキャンセル理由によっては対象外となるケースもあります。対象外となるケースを事前に整理しておくことが大切です。
患者さんの急病や体調不良によるキャンセル
突発的な発熱や急な入院、体調の急変など患者さんのやむを得ない体調不良によるキャンセルは対象外になる可能性があります。
体調不良の場合に、診断書の提出を義務付けることは現実的ではありません。患者さんが申告した内容を尊重する運用が、トラブル防止と患者満足度の維持が期待できます。
クリニック都合によるキャンセル
医師の急病や設備トラブル、休診日の変更などクリニック側の都合によるキャンセルは患者さんへの請求対象にはならないでしょう。
逆に、クリニック都合のキャンセルが発生した場合は、丁寧に説明して、すぐに再予約できるようにする対応が求められます。
数日前からのキャンセル
前日・当日以外の診療予約のキャンセルは、対象外とする運用が一般的です。
例えば、「診察日の2営業日前までのキャンセルは無料」「3日前までに連絡があればキャンセル料は発生しない」などの基準を設定し、ホームページや同意書に明記しましょう。
そもそもキャンセル料制度の目的は、患者さんへの罰則ではなく、クリニックの経営上の損失やスタッフの業務負担を軽減することです。早めに連絡があった場合は、柔軟に対応するクリニックも少なくありません。
病院やクリニックで診療予約のキャンセル料に関するトラブル防止策
選定療養における予約に基づく診察のキャンセル料の導入では、トラブルを防ぐことも重要です。以下を徹底することで、患者さんとの摩擦を最小限に抑えられます。
ホームページや予約画面にキャンセルポリシーを明記する
キャンセル料の発生条件・金額・例外ケース・連絡方法を、ホームページと予約システムの画面に明記することをおすすめします。事前の説明が不足していると、以下のようなクレームが発生する可能性があります。
- 「キャンセル料がかかるとは聞いていなかった」
- 「ホームページに書いてあることに気付かなかった」
- 「体調が悪くて連絡しなかったら請求されるとは思わなかった」
「前日・当日のキャンセルは〇〇円」「発熱などやむを得ない事情は対象外」など、患者さんが判断しやすい表現を心がけましょう。
患者さんへの事前説明と同意取得を徹底する
初診時・WEB予約時・電話予約時などすべてのタイミングでキャンセルポリシーの説明と同意取得を行いましょう。
実際に「受付で説明されなかった」「家族が予約したため内容を知らなかった」という点からトラブルに発展するケースがあるかもしれません。同意履歴を記録として残しておくことで、問い合わせがあった際も説明しやすくなります。
順番予約システムを活用して無断キャンセルを防ぐ
キャンセル料の請求よりも、無断キャンセルそのものを減らす仕組みづくりも重要です。無断キャンセルによって次のような負担がかかります。
- 空き枠を確保できず、他の患者さんを診察できなくなる
- 医師やスタッフのスケジュール調整が難しくなる
- 検査や処置の準備が無駄になる
リマインド通知やWEB上でのキャンセル・変更手続きの簡略化により、予約忘れや「連絡方法が分からない」によるキャンセルを防ぐことができます。
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病院やクリニックの診療予約キャンセル料に関するよくある質問
選定療養における予約に基づく診察のキャンセル料の導入を検討するクリニックから多く寄せられる疑問をまとめました。
Q1.届け出なしにキャンセル料を請求するのは違法ですか?
地方厚生局への届け出は、キャンセル料を徴収するための必須要件です。
届け出なしの請求は、行政指導や患者さんとのトラブルのリスクがあります。届け出を完了してから請求を開始してください。
Q2.検査だけの場合もキャンセル料が発生しますか?
同意取得と事前告知を行っており、選定療養における予約に基づく診察である場合は、請求できる可能性があります。
検査は準備コスト(検査キット・スタッフの準備時間など)が大きいため、診察とは別にキャンセル料を設定・明記しているクリニックもあります。
Q3.病院やクリニックのキャンセル料は保険診療でも発生しますか?
2026年6月1日の制度改正により、選定療養における予約に基づく診察のキャンセル料を請求できるようになりました。ただし、要件を満たしていることが前提です。
Q4.病院やクリニックがキャンセル料を請求すると患者さんは離れますか?
導入の仕方によります。
「罰則」として一方的に告知するのではなく、「すべての患者さんに公平な診療時間を確保するための仕組み」として丁寧に説明することで、理解を得やすくなります。
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病院やクリニックの診療予約キャンセルにはクリニック順番予約システムの活用がおすすめ
選定療養における予約に基づく診察に限りキャンセル料を請求できるようになりました。
キャンセル料は無断キャンセル対策として有効ですが、請求の手間やトラブルリスクを考えると、そもそも無断キャンセルを発生させない仕組みづくりが効率的です。
MEDISMA(メディスマ) 予約は、初診予約や再診を促すなどクリニック専用の予約システムとしての機能が充実しています。キャンセル料の導入と合わせて、自院に適した無断キャンセルの根本的な対策をご検討ください。
参考:順番予約とは?時間予約との違い・メリット・導入ポイントを徹底解説【クリニック向け】
<参考サイト>
療養の給付と直接関係ないサービス等の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について|厚生労働省
投稿者プロフィール

- MEDISMA企画部 部長
- 医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、診療予約システムやクリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。








