クリニックの時間帯予約とは?メリット・デメリットと導入方法を解説|MEDISMA|診療に必要な機能をワンパッケージ

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クリニックの時間帯予約とは?メリット・デメリットと導入方法を解説|MEDISMA|診療に必要な機能をワンパッケージ

クリニックの時間帯予約とは?メリット・デメリットと導入方法を解説

時計

「予約制を導入しているのに、待ち時間が減らない」「患者から『いつ呼ばれるのか』とクレームが入る」

待ち時間の長さは患者満足度を下げる要因であり、同時にスタッフの疲弊にもつながります。

本記事では、待ち時間対策の一つとして「時間帯予約」について、メリット・デメリット、導入のポイントを解説します。

順番予約や時間指定予約との違いを理解し、自院に最適な運用方法を見つけるための参考にしてください。

時間帯予約とは?

時間帯予約とは、「11:00〜11:30」などの幅のある時間枠で予約の取得・管理を行う方法です。

具体的には、30分など一定の時間枠に複数の患者予約を受け付け、枠内では来院順に診察を行います。

時間帯予約を導入することで、患者の来院時間を分散させつつ、診察の進み具合に応じた柔軟な対応が可能になります。

「時間指定予約」と「順番予約」のよい部分を組み合わせたハイブリッドな予約方法です。

時間帯予約のメリット・デメリット

時間帯予約には、クリニックと患者の双方にメリットがありますが、運用上のデメリットも存在します。具体的には、以下の表のとおりです。

視点

メリット

デメリット

患者側

・待ち時間の目安がわかりやすい

・30分枠内なら遅刻も許容される

・「予約時間=開始時間」と誤解しやすい

クリニック側

・診察の遅れを枠内で調整しやすい

・患者予約をコントロールしやすい

・診察時間の見積もりが甘いと遅れが生じてしまう

・予約人数の設定が適切でないと待合室が混雑しがち

患者側のメリット・デメリット


時間帯予約の患者にとってのメリットは、待ち時間の目安がわかりやすいことです。「9時00分~9時30分の間に診察が始まる」という目安があるため、いつ呼ばれるかわからないというストレスから解放されます。

また、電車の遅延や交通渋滞などで数分遅れてしまった場合でも、30分の枠内に到着していれば問題ありません。そのため、気持ちに余裕を持って来院できる点もメリットです。

一方で、仕組みを十分に理解していないと、「9時予約なのになぜすぐ呼ばれないのか」と不満を感じる可能性があります。クリニック側から、「予約時間はあくまで診察開始の目安である」と、事前に周知する必要があります。

クリニック側のメリット・デメリット

クリニック側のメリットは、診察の遅れを柔軟に調整しやすい点です。検査や処置で一人の診察時間が長引いても、30分の枠内で調整が可能です。

また、時間帯予約によって「どの時間帯に・どの患者を受け入れるか」をコントロールしやすくなります。例えば、以下のように工夫して効率化や収益アップに役立てられます。

  • ワクチン接種や術後の経過観察などの似た目的の患者を特定の時間帯に集中させる
  • 比較的空いている時間帯に初診枠、混雑する曜日に再診枠を設定する
  • 自由診療で、脱毛やレーザー治療などの利益率の高いメニュー専用の予約枠を優先的に開放する

デメリットとしては、一定の運用ノウハウが必要なことです。予約枠の人数設定が多すぎると、予約枠の開始時刻に多くの患者が来院し、待合室が密になる可能性もあるでしょう。

他の予約方法との違い(順番予約・時間指定予約)

時間帯予約は、他の予約方法と比較してどのような特徴があるのでしょうか。

予約システムには順番予約・時間指定予約・時間帯予約の3つがあります。それぞれの違いを理解し、自院の診療スタイルに合ったものを選ぶことが大切です。

順番予約・時間指定予約との違いについて解説します。

時間帯予約

順番予約

時間指定予約

仕組み

「30分以内」といった時間の目安を設ける

当日の受付順に番号を付与する

「10時00分」のようにピンポイントで時間を約束する方式

診察時間の目安

おおよその目安がわかる

わかりにくい

明確(ピンポイントで決まっている)

適した診療科

内科、小児科、精神科、心療内科

耳鼻科、皮膚科

歯科、完全予約制の専門外来

順番予約との違い

順番予約は、当日の受付順に番号を付与する方法です。患者は「あと5人待ち」といった状況は把握できますが、「実際に何時に呼ばれるか」まではわかりません。そのため、外出から戻るタイミングが難しく、院内で長時間待たざるを得ないケースも発生します。

一方で、時間帯予約は「30分以内」という時間の目安があるため、患者は予定を立てやすくなります。「待ち時間が長そうだから帰ろう」といったキャンセルを防ぐ効果も期待できます。

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時間指定予約との違い

時間指定予約は、「10時00分」のようにピンポイントで時間を約束する方法です。歯科や完全予約制の専門外来のように、一人あたりの処置時間が決まっている場合には適しています。

しかし、内科や小児科など患者の症状によって診察時間が変動する診療科では、一人の診察が長引くと、後の予約が遅れてしまいます。

時間帯予約なら30分の枠内で遅れを吸収できるため、時間が読めない医療現場でも柔軟に運用できます。

クリニックで時間帯予約を導入するためのポイント5選

時間帯予約を成功させるためには、単にシステムを導入するだけでなく、自院に合わせた設定やルールの策定が欠かせません。クリニックで時間帯予約を導入する際のポイントは以下の5つです。

  • 予約枠と当日枠のバランス調整を行う
  • 時間枠は「30分」を基準に設定する
  • 遅刻やキャンセルのルールを明文化する
  • 院内やHPでの事前案内を徹底する
  • 順番制とのハイブリッド運用も検討する

1.予約枠と当日枠のバランス調整を行う

予約枠を最初から100%埋めないことが重要です。予約枠を7~8割程度に設定し、残りを急患やインターネットが使えない高齢者のために空けておくことで、当日の突発的な事態にも対応できます。

例えば、10:00~10:30枠には予約患者を集中させ、10:30~11:00枠は50%程度の予約に調整しておくなど、集中させる枠とバッファを持たせる枠を交互に設定することが有効でしょう。

2.時間枠は「30分」を基準に設定する

時間帯の幅は「30分枠」が推奨されます。心理的に、人が待たされてイライラし始める限界が約30分と言われているためです。病院の外来患者を対象にした調査では、診察までに待てる平均時間は37分でした。

1時間枠では待ち時間が長くなりすぎ、15分枠では遅延のリスクが高まります。

1枠あたりの予約人数は、「30分÷医師1人あたりの平均診察時間」で計算し、会計や移動の時間も考慮して少し余裕を持たせた人数を設定します。無理のない人数設定から始めることが、スムーズな運用の基本です。

参考:待ち時間と満足度を組み合わせた外来患者調査│日本医療マネジメント学会雑誌

3.遅刻やキャンセルのルールを明文化する


遅刻に関するルールを定め、患者に周知することも大切です。例えば、「予約枠の終了10分前までに受付を済ませていない場合は、予約外・キャンセル扱いとする」といった線引きを行います。

遅刻した人を優先してしまうと、時間通りに来院した患者が損をしてしまい、クリニックへの不信感につながります。公平性を保ち、システムを円滑に回すために、毅然としたルール運用が必要です。

4.院内やHPでの事前案内を徹底する

時間帯予約に関するトラブルは、「予約時間に必ず呼ばれる」と患者が誤解しているために生じることが多いでしょう。そのため、院内掲示やHPでの時間帯予約に関する事前案内が不可欠です。

例えば、「9時00分~9時30分の間に診察が始まる目安です」「診察開始時間を約束するものではありません」といった、誤解されない言い回しで案内を行います。

また、待合室のモニターで「現在〇〇時の予約の方を診察中です」と表示するなど、状況を見える化することも有効です。進捗状況がわかれば、患者は安心して待てるようになるでしょう。

時間帯予約の案内文テンプレート

時間帯予約について案内するときには、以下のような案内文を作成し、周知しましょう。

【予約システムについてのお知らせとお願い】

当院では、患者様の待ち時間を短縮し、スムーズな診療を行うために「時間帯予約制」を導入しております。

1. 時間帯予約とは?

「9:00〜9:30」のように、30分の幅でご予約をお取りします。この時間帯の間に診察室へご案内できるよう努めますが、診察開始時刻をお約束するものではありません。

2. ご来院のお時間について

予約された時間帯の開始時刻5分前を目安にご来院・受付をお済ませください。

(例:9:30〜10:00予約の方は、9:25頃にお越しください)

3. もし遅れそうなときは

予約された時間帯を過ぎて受付された場合、予約外扱いとなり、次の時間帯の患者様の後など、しばらくお待ちいただくことになります。

4. 予約なしでの受診について

直接ご来院いただいても診察いたしますが、予約の患者様の間に入っていただくため、待ち時間が長くなる場合がございます。当日でもお電話やネットでのご予約をお勧めいたします。

5. 診察順序について

病状や検査の内容により、診察の順番が前後することがございます。何卒ご理解ご協力をお願い申し上げます。

5.順番制とのハイブリッド運用も検討する

すべての時間帯を予約制にするのが不安な場合は、ハイブリッド運用も一つの方法です。

例えば、高齢者の来院が多い午前中は「順番制」とし、20~40代が多い午後は「時間帯予約」にするなど、患者層に合わせて使い分けることで、利便性を高められます。

時間帯予約でよくあるトラブルと解決策3選

時間帯予約を導入した後に生じがちなトラブルと、解決策を紹介します。

  • 「予約したのに待たされた」というクレーム
  • 予約時間よりも早く来院する患者
  • 予約なし直接来院患者の扱い

1.「予約したのに待たされた」というクレーム

最も多いのが、「予約=その時間に診察が始まる」と思い込んでいるケースです。予約時間になっても呼ばれないことへの不満がクレームにつながります。

対応策としては、受付時に「本日は急患の方が重なり、予定より15分ほど遅れる見込みです」と、具体的な見通しを伝えることが重要です。

漠然と待たされるのではなく、理由と目安がわかることで、患者の納得感を得やすくなります。

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2.予約時間よりも早く来院する患者

「早く行けば早く診てもらえる」という順番制の感覚で、予約時間よりも早く来院する患者もいます。早く来たからといって前の枠の患者を追い抜いて診察すると、予約システムの意味がなくなってしまいます。

早く来ても予約枠の開始時間までは呼ばないという運用を徹底し、「早く来ても意味がない」と理解してもらうことが大切です。

受付時に「予約の時間帯までお待ちいただきます」と一言添える対応を統一しましょう。

3.予約なし直接来院患者の扱い

予約なしで直接来院された患者を断ることはできませんが、予約患者との優先順位でトラブルになることがあります。

「当院は予約優先制となっております」と伝え、予約の方の合間や空いている時間帯に案内します。

「ご予約の方が優先ですので、11時過ぎのご案内になりますがよろしいでしょうか?」と具体的な目安を伝え、待つか出直すかを患者に選んでもらうようにするとスムーズです。

診療の特徴にあわせた運用なら時間帯予約がおすすめ

時間帯予約は、患者の待ち時間を減らしクリニックの業務効率を向上させるための有効な手段です。特に、診察時間の変動がある程度発生する内科や小児科、整形外科などにおいては、予約を柔軟に調整できます。

しかし、時間帯予約の導入には、適切な人数や時間枠の設定など運用のノウハウが欠かせません。予約システムの導入だけでなく、その後の運用までを一貫してサポート可能なベンダー選びも重要です。

株式会社ヒーローイノベーションでは、クリニックの予約管理を効率化するシステム「MEDISMA(メディスマ)予約」を提供しています。

時間帯予約の導入はもちろん、LINE連携やWEB問診との組み合わせにより、院内での滞在時間をトータルで削減する提案が可能です。

予約システムの導入や見直しをご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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