「病院を予約しても意味がない」患者の待ち時間を解消する対策とは?
- 2025年11月7日
- 電子カルテ,Web問診,自動釣銭機・セミセルフレジ

「予約しても意味がない」「結局待たされる」という患者からの不満は、単なる待ち時間の問題ではなく、クリニックの運営方法に関連している場合があります。
待ち時間に対する不満の原因は、予約への「期待が裏切られる」ことや「あとどれくらい待つのか分からない」という不透明さにあることが多いです。
本記事では、「病院を予約しても意味がない」という患者からの不満を解消するため、3つの原因と対策を解説します。
目次
「病院予約の意味がない」と言われる3つの原因

「予約は意味がない」という不満は、患者の期待が裏切られることや説明不足で生じます。具体的な以下の3つの原因について詳しく解説します。
- 予約の詰め込みすぎと院内の混雑
- 「あとどれくらい待つか」の説明不足
- 診療と予約システムが合っていない
1. 予約の詰め込みすぎと院内の混雑
効率を優先し、予約枠にバッファ(余裕)を設けないことは診察遅れの原因になります。例えば、突発的な処置が発生して診察が長引くと、その遅れが後の予約枠すべてに影響します。
また、予約なしで来院する患者も、予約患者の間に割り込ませるか・最後の予約枠に回すかという対応しかとれなくなるでしょう。いずれの対応でも、患者を待たせることになり、「予約時間を守ってくれない」という不信感につながります。
2. 「あとどれくらい待つか」の説明不足
患者の不満は「待つこと」よりも、遅れる理由や「あとどれくらい待つか」の見通しが共有されない「不透明さ」から生じます。例えば、予約時間を過ぎても掲示板に自分の番号が表示されず、スタッフに尋ねても「しばらくお待ちください」としか言われなければ、患者の不安と不満が増大します。
調査によれば、患者が許容できる待ち時間の平均は受付から診察までで「37分」というデータもあります。許容時間を超える場合は、スタッフからの積極的な説明が必要です。
参考:待ち時間と満足度を組み合わせた外来患者調査│日本医療マネジメント学会雑誌
3. 診療と予約システムが合っていない
診療科の特性と予約システムが合っていない状態も、予約制が機能しない原因になります。例えば、処置などで診察時間にばらつきが出やすい診療科にもかかわらず、柔軟性のない「時間指定予約」を採用しているケースです。
予約が持つ「この時間・時間帯に診察できる」という保証が崩れ、予約の意味がなくなってしまいます。
今すぐできる!病院予約を運用で見直す改善策

予約システムを導入するだけでは問題は解決しません。現場のオペレーションを整え、予約時間にきちんと診察できる体制づくりが大切です。
システム導入の前に、コストをかけずに実行できる3つの具体的な運用改善策を紹介します。
- 「予約なし患者」の対応ルールを明確化
- 遅れたときの「説明例」
- 受付・会計プロセスの見直し
1. 「予約なし患者」の対応ルールを明確化
予約患者の満足度と、予約なし患者(新患・急患)の受け入れは、ジレンマになりがちです。
解決策は、現場の判断に任せるのではなく、ルールを事前に決めておくことです。例えば、以下のように、予約なしで患者が来院したときの対応を決めておきましょう。
- 予約患者を優先する
- 予約なし患者は『予約枠の空き時間』または『その日の最後尾』に案内する
- 緊急性が高いと看護師などが判断した場合は、トリアージにもとづき割り込みを認める
スタッフにはマニュアル策定を行い共有するとともに、院内にも掲示して患者の理解を促しましょう。
2.遅れたときの「説明例」
時間が押している場合、患者には謝罪だけではなく、「共感」「理由」「見通し」を意識して説明しましょう。具体的には以下のように伝えると効果的です。
【説明例】
- 共感と謝罪:〇〇様、ご予約時間の10時を過ぎてしまい、誠に申し訳ございません。
- 客観的な理由:ただいま、前の患者様の処置に想定より時間がかかっていて、診察が全体的に押しております。
- 具体的な見通し(アンカリング):恐れ入りますが、あと30分から40分ほどお待ちいただく可能性がございます。
- 代替案:もし院外でお待ちになる場合は、順番が近くなりましたらお電話(またはLINE)でお呼び出しすることも可能です。どうされますか?
時間の見通しを伝える際には、あえて少し長めの待ち時間を伝えることも有効です。実際にかかる時間よりも早く案内でき、「思ったより早かった」という印象をつくります。これは心理学の「アンカリング効果」を応用した方法で、患者の心理的負担を軽減します。
3. 受付・会計プロセスの見直し
患者がストレスを感じやすい「受付」と「会計」の待ち時間解消も効果的です。
心理学の「ピーク・エンドの法則」によれば、人の体験の記憶は「最も感情が動いた瞬間(ピーク)」と「最後の瞬間(エンド)」で決まるとされます。診療場面に当てはめると、「ピーク」は医師の診察、「エンド」は会計です。たとえ診察(ピーク)の満足度が高くても、最後の会計(エンド)でストレスを感じれば、クリニック全体の印象が悪化してしまいます。
そのため、会計待ちの不満を解消する「自動精算機」や「セミセルフレジ」の導入は、患者満足度の向上には効果的といえます。会計を自動化・無人化することで、患者の診療体験の質を高められます。
▼関連記事:
自動精算機をクリニックで使うメリット7選!患者満足度を向上させよう
自院に最適な予約方法は?3つのタイプを徹底比較

「予約しても待たされる」という問題の背景には、自院の「診察時間のばらつき」と予約システムのミスマッチがあると考えられます。
以下の代表的な3つの予約方法を、メリット・デメリット、そして「どの診療科に最適か」という視点で比較します。
|
予約方法 |
メリット |
デメリット |
向いている診療科 |
|
時間指定予約 |
・理論的には待ち時間の最小になる |
・柔軟性が低く、後ろの枠に遅れが波及しやすい |
・歯科 ・精神科(カウンセリング) ・健診 |
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順番予約 |
・急患対応が容易 ・仕組みが単純明快 |
・診察開始時間の予測が困難 ・特定時間に混雑が集中しやすい |
・耳鼻科 ・皮膚科(軽症例) |
|
時間帯予約 |
・診察時間のバラツキを吸収可能 ・遅延が波及しにくい |
・適切な枠の人数設定にノウハウが必要 |
・内科 ・小児科 ・整形外科 |
1. 時間指定予約(歯科・精神科向き)
「10:00 〇〇様」のように、厳密に時間を割り当てる方法です。理論上の待ち時間が最小になる点が長所です。一方で、柔軟性がなく、1人の遅延が全体に波及してクレーム化しやすい短所があります。
歯科や精神科(カウンセリング)、健診など、1人あたりの時間が「予測可能で一定」な診療科に適しています。
2. 順番予約(皮膚科・耳鼻科向き)
来院順やWeb受付順に「3番目」といった番号を発行する方式です。急患を組み込みやすく、予約制になじみのない患者でもわかりやすい点が長所です。しかし、診察開始時間の目安が立たず、午前中や夕方などに院内が混雑しやすい短所もあります。
耳鼻科や皮膚科(軽症例)など、診察時間が「短く」回転率を重視する診療科で使われます。
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クリニックの順番予約とは?メリットやシステム導入のポイントを解説
3. 時間帯予約(内科・小児科・整形外科向き)
「10:00~10:30に5人」など、一定の枠に複数人を受け付ける方式です。
時間帯予約は、時間枠自体がバッファとして機能するため、診察時間にばらつきのある診療科に適しています。一人の患者の診察が長引いても、遅れを枠内で調整でき、後の枠の遅れを防ぎやすい長所があります。ただし、枠内の適切な人数設定にはノウハウが必要です。
また、時間帯予約と時間指定予約(例:予防接種枠)を組み合わせるハイブリッド型の運用も有効です。
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クリニックの時間帯予約とは?メリット・デメリットと導入方法を解説
「予約の意味がない」をなくす対策│診療予約システムを導入する際のポイント

患者様の待ち時間ストレスを軽減するには、予約の仕組みを最適化し、順番待ちの状況を把握しやすくする対策が必要です。診療予約システムの導入や見直しは、そのための具体的な解決策となります。
診療予約システムは、Webやアプリ上でいつでも予約が取得できるシステムです。システム導入に当たっては、以下の3つを意識し、準備や導入方法を検討しましょう。
- スタッフへの説明
- 患者への周知と細やかなフォロー
- 電子カルテとの連携範囲を決める
1. スタッフへの説明
診療予約システムの導入時には、スタッフから「操作が面倒だ」「かえって仕事が増えた」といった不満が生じることがあります。
単なる操作説明ではなく、導入目的を院長自ら説明することが大切です。例えば、「クレーム対応のストレスを減らすため」と、スタッフにメリットがあることが伝わるようにしましょう。
また、実際にシステムを毎日使うスタッフをベンダー選定の段階から巻き込むことで、導入後のミスマッチを防げます。
2. 患者への周知と細やかなフォロー
新しいシステムへの移行には、患者への丁寧な案内が欠かせません。導入1ヶ月前から院内掲示やWebサイト、会計時のチラシ配布などで「なぜ変えるのか」「いつから変わるのか」を周知します。
そして、導入直後は、受付での積極的な声かけや操作サポートを徹底しましょう。特にITに不慣れな高齢の患者に対しては、「Web予約100%」を目指すべきではありません。必ず電話・窓口予約枠を物理的に確保し、Web予約が可能な層と「棲み分け」を図ることが、導入成功の鍵となります。
3. 電子カルテとの連携範囲を決める
診療予約システムが電子カルテやレセコンと連携せず、予約情報を電子カルテに転記する「二重入力」は、スタッフの負担になります。導入失敗を防ぐため、既存システムと連携可能かどうかはもちろん、実際の運用を想定してシステムを選びましょう。
具体的には、「どの情報を」「どこまで」連携させるかが重要です。診療予約システムと電子カルテで連携できる機能には以下の3つがあります。
- 患者属性(頭書き): 電子カルテの患者情報(氏名、生年月日など)と予約システムを共有する。
- チェックイン(受付処理): 予約システムでの受付(QRコード読み取りなど)情報を電子カルテに反映させる。
- 再来予約:会計時に自動精算機などで取得した次回予約を、電子カルテに反映させる。
全ての機能を連携させることが最適とは限りません。例えば、高齢の患者が多くWeb操作に不慣れな場合、全てを自動化させると現場や患者の混乱を招く可能性があります。
自院の課題(人手不足、予約管理の複雑さなど)に応じて、どこまでを自動化し、どこをスタッフの判断に残すかを見極めることが重要です。
「予約してよかった」という満足感のためにシステムの見直しを

「予約の意味がない」という不満の原因は、単なる待ち時間ではなく、診療科の特性と予約システム・院内オペレーションが噛み合っていないことにあります。患者の不満を解消し、スタッフの負担を減らすために、取り組むべき対策は3つあります。
- 会計プロセスの効率化:自動精算機の導入により、会計待ちのストレスを軽減。患者体験の「最後」をよい印象で終えられるようにする。
- システムの見直し:診察時間のばらつきや患者層に合わせて最適な予約方法を選ぶ。
- コミュニケーションのルール化:遅れが生じた時の説明や予約患者への対応ルールを院内で統一し、スタッフの迷いをなくす。
患者の待ち時間解消には、自動精算機やWeb問診、診療予約システムの活用が効果的です。ヒーローイノベーションでは、病院やクリニックで活用いただける「メルプWEB問診」や自動精算機「MEDISMAレジ」をご提供しています。お気軽にお問い合わせください。




