【最新版】クリニック向け電子カルテメーカー16選!機能別に紹介

「クリニックを開業するにあたり、どの電子カルテを選べばよいか分からない」
「現在使っているシステムが使いづらいが、乗り換えのリスクが心配だ」
「クラウド型とオンプレミス型、結局どちらが自院に合っているのか判断できない」
日々の診療業務を支える基盤として、電子カルテの選定はクリニック経営を左右する重要な決断です。しかし、電子カルテ市場には50社以上のメーカーが存在し、機能や費用も千差万別であるため、自院に最適なシステムを見つけることは簡単ではありません。
この記事では、医療DXや標準化電子カルテの動向を踏まえ、クリニックにおすすめの電子カルテを目的別・診療科別に厳選して紹介します。シェアランキングや選び方のポイント、導入費用の相場まで、意思決定に必要な情報を網羅しました。
システム選定の迷いを解消し、自院の診療スタイルにフィットする電子カルテを見つけるための判断材料として活用してください。
目次
クリニック向け電子カルテメーカーの人気ランキング比較(新規導入・トレンド)

クリニックにおける電子カルテ普及率は、令和2年の49.9%から令和5年には55.0%と増加傾向にあります。
多くのクリニックが選んでいる製品を知ることは、システム選定の有効な指標になります。m3.com、ITトレンド、日経メディカルの最新調査結果をもとに、現在の市場トレンドと主要メーカーを比較しました。
|
順位 |
m3.com (2025年版シェア率) |
ITトレンド (2025年12月1日時点の資料請求数) |
日経メディカル (2024年導入シェア) |
|
1位 |
エムスリーデジカル (25.7%) |
CLIUS |
Medicomシリーズ |
|
2位 |
Medicom-HRシリーズ (15.5%) |
エムスリーデジカル |
M3 デジカル |
|
3位 |
HOPEシリーズ (富士通)(8.7%) |
CLINICS |
Dynamics |
|
4位 |
BrainBoxシリーズ (3.3%) |
Henry |
BrainBoxシリーズ |
|
5位 |
movacal.net (3.0%) |
MAPs for CLINIC |
Medical Station / Qualis |
|
6位 |
CLIUS (3.0%) |
QUALISシリーズ |
CLINICS |
|
7位 |
QUALISシリーズ (2.4%) |
blanc |
CLIUS |
|
8位 |
CLINICS (2.4%) |
m-KARTE |
HOPEシリーズ(富士通) |
|
9位 |
Dynamics (2.1%) |
医師協 Zebra for Karte |
TOSMECシリーズ |
|
10位 |
SUPER Clinicシリーズ NAVIS-CL MAPs for CLINIC/MRNシリーズ (1.8%) |
Medicom-HRf Hybrid Cloud |
Hi-SEEDシリーズ Dopanet Doctors |
※市場全体の累積シェアとは異なり、現在選ばれている「勢いのある製品」を中心とした比較です。
各媒体の調査結果をまとめると、現在は「Medicom」「富士通」といった大手メーカーの安定感と「エムスリーデジカル」「CLIUS」などのクラウド型ベンダーの利便性が拮抗し、徐々にクラウド型が優勢になりつつある状況が読み取れます。
参考:【2025年版】クリニック向け電子カルテ購入シェアランキング | m3.com開業経営
参考:【2025年12月版】電子カルテ 資料請求ランキング|ITトレンド
参考:第24回 【医師774人に聞いた】電子カルテ導入シェアランキング2024速報!│日経メディカル開業サポート
具体的な電子カルテメーカーや製品名については、以下で詳しく紹介しています。
電子カルテ導入のメリット・デメリット

電子カルテの導入は、業務効率化やスペースの有効活用など多くの利点をもたらしますが、コストや災害時の対応などの課題も存在します。
メリットとデメリットを正しく理解した上で、自院の運用体制を整えましょう。
|
メリット |
デメリット |
|
業務効率の向上 カルテの検索や閲覧が瞬時に行え、受付から会計までの時間を短縮できます。 |
操作習熟の負担 スタッフが新しいシステムの操作を覚えるまでに時間と教育コストがかかります。 |
|
情報共有の迅速化 医師や看護師、事務スタッフがリアルタイムで患者情報を共有でき、チーム医療を円滑にします。 |
システムダウンのリスク 停電やネットワーク障害、サーバー故障時に診療が停止する可能性があります。 |
|
スペースの有効活用 紙カルテの保管場所が不要になり、院内スペースを診察室や処置室として有効に使えます。 |
導入・運用コスト 初期費用や月額利用料、保守費用などの金銭的負担が発生します。 |
|
医療安全の向上 手書き文字の判読ミスによる医療過誤を防ぎ、アレルギーチェック機能などで処方の安全性を高めます。 |
セキュリティリスク 電子データでの管理となるため、情報漏えいやサイバー攻撃への対策が必要です。 |
デメリットに対する配慮や対策が十分になされている電子カルテメーカーを選ぶことが、導入後の運用において重要です。
失敗しないクリニック向け電子カルテの選び方│7つのポイント

数ある製品の中から自院に最適な電子カルテを選ぶためには、明確な基準が必要です。
ここでは、電子カルテの7つの選定ポイントを解説します。
- 提供形態
- 「レセコン一体型」か「分離型」か
- 診療科特有のワークフローへの適合性
- 操作性とUI
- 外部システム連携
- サポート体制
- セキュリティ
1. 提供形態(クラウド vs オンプレミス vs ハイブリッド)
電子カルテの提供形態は、ベンダーのサーバーを利用するクラウド型と院内サーバーを設置するオンプレミス型があり、さらに両者をあわせたハイブリッド型もあります。
提供形態の違いは、コストや運用体制、災害対策(BCP)に大きく影響します。
それぞれの特徴を比較表にまとめました。
|
特徴 |
クラウド型 |
オンプレミス型 |
ハイブリッド型 |
|
仕組み |
インターネット経由でベンダーのサーバーを利用 |
院内にサーバーを設置し、院内LANで運用 |
院内サーバーとクラウドの両方を併用 |
|
初期費用 |
安い(0円〜) |
高い(数百万円〜) |
やや高い |
|
月額費用 |
あり(利用料) |
あり(保守料) |
あり |
|
速度・安定性 |
回線速度に依存 |
高速・安定(回線に依存しない) |
高速(院内サーバー利用時) |
|
災害対策(BCP) |
データセンター保管で安心だが、ネット切断時は利用不可のリスクあり |
ネット切断でも利用可能だが、院内被災時のデータ消失リスクあり |
ネット切断時も稼働し、データも保全される |
|
向いている施設 |
・初期コストを抑えたい ・訪問診療を行う ・新規開業 |
・画像データを大量に扱う ・速度を重視したい ・ネット環境が不安定な地域 |
・安定性と利便性の両方を追求したい ・BCP対策を重視する |
データ管理や災害時の対策をどこまで自院が重視するかによって、提供形態を決めましょう。
2. 「レセコン一体型」か「分離型」か
レセプトコンピュータ(レセコン)との連携方式も、業務効率に関わるポイントです。
電子カルテとレセコンが統合された「一体型」と、別々のシステムにわかれている「分離型(変動型)」があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 一体型:データ連携がスムーズで、入力ミスや二度手間を防げます。事務効率を最優先する場合に適しています。
- 分離型(連動型):既存のレセコン(ORCAなど)をそのまま使いたい場合や、特定のレセコンにこだわりがある場合に選ばれます。
3. 診療科特有のワークフローへの適合性
診療科によって求められる機能は異なります。汎用的な電子カルテでは対応しきれない場合があるため、自院の診療科に必要な機能が備わっているか確認が必要です。
各診療科で必要とされる代表的な機能は以下のとおりです。
- 眼科:視力検査機器などのデータ自動取り込み、シェーマ描画機能。
- 小児科:予防接種のスケジュール管理、成長曲線の自動作成。
- 精神科:長文の精神療法記録の入力しやすさ、文書作成支援。
実際の診療をイメージして必要な機能を見極めることが大切です。デモを通して、使いやすさを確認してみましょう。
4. 操作性とUI(2号用紙風・モダン)
医師やスタッフが毎日使う画面のデザイン(UI)は、業務効率やストレスに直結します。
画面のデザインは、紙カルテに近い「2号用紙風」かスマホ・タブレットのような直感的な「モダンUI」に大別されます。
- 2号用紙風:紙カルテのレイアウトを踏襲したデザインです。紙カルテからの移行や、ベテラン医師にとって馴染みやすい画面です。
- モダンUI:スマホやタブレットのような直感的なデザインです。若手医師やMacユーザーに好まれ、視認性が高く操作が覚えやすい傾向があります。
デモ利用などを通じて、実際の入力手順や画面の見やすさを確認することをお勧めします。
5. 外部システム連携(APIエコノミー)
クリニックのDX化を進める上で、以下のようなシステムとの連携性は欠かせません。
- 予約システム:Web予約情報の自動取り込み。
- 自動精算機:会計情報の連携による精算業務の自動化。
- WEB問診:患者が入力した問診情報のカルテへの反映。
外部システムとスムーズに連携できるAPIやインターフェースを備えているかを確認しましょう。
6. サポート体制(オンサイト vs リモート)
トラブル発生時のサポート体制も、安心して運用するために確認すべき項目です。
- オンサイトサポート:担当者がクリニックに駆けつけて対応します。安心感は高いですが、保守費用が高額になる場合があります。
- リモートサポート:電話やチャット、遠隔操作で対応します。対応が早く、費用を抑えられますが、物理的な機器トラブルには対応できない場合があります。
自院のスタッフのITスキルや予算に合わせて、適切なサポート体制を選びましょう。
7. セキュリティ(3省2ガイドライン準拠)
患者のプライバシー情報を守るため、セキュリティ対策は不可欠です。
特にクラウド型を選ぶ際は、厚生労働省などが定めた「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠しているかを確認する必要があります。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
- 国内の堅牢なデータセンターを利用しているか。
- 通信の暗号化(SSL/TLSなど)が行われているか。
- アクセスログの管理機能があるか。
参考:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月)|厚生労働省
【総合】クリニック向けおすすめ電子カルテメーカー8選(一覧表あり)

内科をはじめ、多くの診療科で幅広く使えるバランスのよい製品・電子カルテメーカーを8つ紹介します。それぞれの強みや特徴を理解し、候補を絞り込みましょう。
|
メーカー/製品名 |
タイプ |
レセコン |
特徴・強み |
価格帯(目安) |
|
クラウド |
一体/分離 |
・AI学習機能 ・iPad、スマホ対応 ・初期費用0円プランあり |
初期:0円〜 月額:11,800円〜 |
|
|
ハイブリッド |
一体 |
・約170社の機器と連携可能 ・手厚いサポート ・ハイブリッド型でネット切断時も稼働 |
要問い合わせ |
|
|
クラウド |
一体 |
・オンライン診療から予約、問診、アプリまで一気通貫 ・AIによるカルテ、文書作成 |
要問い合わせ |
|
|
クラウド |
分離 |
・AIオーダー推薦機能 ・300種類以上のシステム連携実績 ・スムーズなレセコン連携 |
初期:0円~(CLIUS Directプラン)200,000円〜(基本プラン) 月額: 19,800円(CLIUS Directプラン)・12,000円(基本プラン) |
|
|
クラウド |
一体 |
・ネット切断時も使えるハイブリッド構造 ・画面や文字のカスタマイズ機能が豊富 ・Web予約と問診機能を標準搭載 |
初期:0円〜 月額:20,000円〜 |
|
|
クラウド・オンプレミス・ハイブリッド |
一体 |
・シリーズ提供が非常に豊富 ・入力内容を学習するAI機能 ・算定漏れを防ぐ自動チェック機能 ・アプリ連携で予約・問診・決済までをスマホで完結可能 |
要問い合わせ |
|
|
オンプレミス |
一体 |
・導入費用やランニングコストを抑えたコストパフォーマンスのよさ ・プログラムのソースが公開されておりカスタマイズしやすい |
初期費用:220,000円(税込) 月額使用料:13,200円(税込) |
|
|
クラウド・オンプレミス |
一体 |
・AIが入力漏れや追加オーダーを提案 ・医薬品データベースを標準搭載 |
要問い合わせ |
1. エムスリーデジカル

出典:エムスリーデジカル
クリニックの業務効率化に役立つクラウド型電子カルテです。
AI学習機能により、医師の入力パターンを学習し、カルテ作成やオーダー入力を効率化します。特に、カルテ入力時間は80%の大幅削減を実現。
初期費用0円から始められるプランもあり、コストパフォーマンスに優れています。iPadやスマホでの利用も可能で、訪問診療など場所を選ばない働き方を支援します。
2. ウィーメックス「Medicom-HRf」

出典:ハイブリッド型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud | メディコム | ウィーメックス株式会社(旧PHC株式会社)
長年の実績と高いシェアを誇る、電子カルテ業界のリーディングカンパニーです。オンプレミス型の安定性とクラウド型の利便性を兼ね備えたハイブリッド型を提供しています。
効率化を追求した直感的な画面や、診療科にあわせたレイアウトなど、カルテ入力の速度にこだわった設計が特徴です。
また、予約や受付、検査などの連携が必要な業務も、約170社の機器との連携が可能で、独自の運用が可能です。
全国に拠点を持ち手厚いオンサイトサポートが受けられるため、システムトラブルへの不安が強い層や安定稼働を最優先するクリニックに選ばれています。
3. CLINICS

オンライン診療システムや予約システム、WEB問診、患者用アプリまでを一気通貫で提供するクラウド型電子カルテです。
「AI要約アシスト」によるSOAP形式でのカルテ作成や「AI文書アシスト」の医療文書生成など、AIを活用した効率化が特徴です。
「患者の利便性を高め、集患につなげたい」「書類やカルテ作成を効率化したい」といったクリニックに適しています。
4.CLIUS

出典:CLIUS
洗練されたデザインが特徴のクラウド型電子カルテです。AIを活用した「オーダー推薦機能」が特徴です。診療情報をAIが読み取り、適切なオーダー候補を表示することで、検査内容や処方薬を検索する手間が削減されます。
また、レセコンとは分離型ですが、まるで一体型のような日本医師会標準レセプトソフト「WebORCA」を使用することで、全ての日常業務をカルテ上で完結可能です。
5.MAPs for CLINIC

出典:クラウド型電子カルテならMAPs for CLINIC|株式会社EMシステムズ
調剤薬局システム大手EMシステムズが提供するクラウド型電子カルテです。インターネット回線が切断されても、オフラインで診察から処方箋発行が可能なハイブリッド構造を持ち、災害時などのBCP対策が強みです。
Web予約や問診機能を標準搭載しており、患者の利便性向上にも役立ちます。
画面表示のカスタマイズや入力文字の強調など、必要な情報を見逃さず、効率的な診療をサポートする機能が充実しています。
6.富士通:HOPE LifeMarkシリーズ

出典:診療所様向けクラウド型電子カルテシステム HOPE LifeMark-TX Simple type : 富士通
クリニックのスタイルに合わせて、クラウド型からオンプレミス、ハイブリッドなど多様な形態が選べる電子カルテです。
入力内容を学習するAI機能や、算定漏れを防ぐ自動チェック機能により、スムーズなカルテ作成と請求業務を支援します。「オンライン資格確認」や「電子処方箋」などの医療DXに標準対応しているほか、患者向けアプリ「コンシェルジュ」とも連携。
予約・問診・決済までをスマホで完結させることで、患者サービスの向上と窓口業務の効率化を実現します。
7.ダイナミクス(Dynamics)

出典:ダイナミクス
現役医師が現場のニーズを反映して開発した、レセコン一体型電子カルテです。「医師が医師へ良いシステムを」という理念のもと、導入費用やランニングコストを抑えたコストパフォーマンスのよさが特徴です。
プログラムのソースが公開されているため、自院のスタイルに合わせて自由にカスタマイズが可能。オンプレミス型ならではの高速動作に加え、スマホやiPadを用いた訪問診療先でのデータ参照・入力にも対応し、災害時にも強いシステムです。
8.YUYAMA(ユヤマ):BrainBoxシリーズ

出典:クラウド型電子カルテ BrainBox CloudⅡ│ユヤマ
AIによる高度な診療支援機能を搭載した電子カルテシステムです。
AIがカルテやレセプトの内容から入力漏れや追加オーダーを提案するほか、WEB問診と連携して病名候補や検査の提案まで行い、医師の判断をサポートします。
オンプレミス型には医薬品総合データベース「MDbank」を標準搭載しており、相互作用や適応病名のチェックもワンクリックで可能。オンプレミス型とクラウド型の両展開で、経営分析ツールやiPadなどでの利用にも対応しています。
【機能別】専門機能に強いおすすめ電子カルテ8選

汎用型の電子カルテでは対応しきれない、特定の診療科や診療スタイルに特化した製品を紹介します。
1. 診療科別おすすめ電子カルテ
各診療科特有の業務フローを効率化するための専用機能を備えた製品です。
|
診療科 |
製品名 |
特徴・強み |
|
眼科 |
・多数の検査機器(レフケラ等)からの数値自動取り込み ・7段階の太さと6色のペンを備えた詳細なシェーマ描画 |
|
|
耳鼻咽喉科 |
・「花粉症セット」などのセット登録機能によるワンクリック入力 ・Web予約、問診、オンライン診療、自動精算機との連携 |
|
|
精神科・ 心療内科 |
・長文入力に適したテキストエディタと作成補助機能 ・診断書・紹介状のExcel反映作成、デイケア連携機能 |
|
|
産婦人科 |
・妊婦健診の週数管理、パルトグラム(分娩経過図)の自動作成 ・超音波(エコー)検査結果や新生児経過記録の管理 |
眼科(CLIPLA Eye)

出典:業界初 眼科向けクラウド電子カルテ CLIPLA Eye -クリプラアイ | 株式会社クリプラ
眼科診療では、オートレフケラトメーターや眼圧計など多数の検査機器からの数値自動取り込みが必須です。「CLIPLA Eye」は、機器連携機能が充実しており、検査データや画像をワンクリックでカルテに取り込めます。
また、眼球のシェーマ描画機能は7段階の太さと6色のペンを備えており、詳細な所見記録をサポートします。
耳鼻咽喉科(CLIPLA ENT)

出典:業界初 耳鼻咽喉科向けクラウド電子カルテ CLIPLA ENT– クリプラエント
短時間で多数の患者を診察する必要がある耳鼻咽喉科には、高速入力が可能な電子カルテが求められます。「CLIPLA ENT」では、「花粉症セット」や「アレルギー性鼻炎セット」などよく使う診療行為をワンクリックでカルテ記載が完了します。
Web予約やWeb問診、オンライン診療、自動精算機とも連携可能であり、患者の利便性向上にも寄与します。
精神科・心療内科(Waroku)

患者の話を詳細に記述する必要がある精神科では、長文入力に適したテキストエディタ機能が重要です。
「Waroku」は、カルテ作成の補助機能や基本的な心理検査項目が搭載されており、操作しやすい設計となっています。また、文書作成も簡単なマウス操作でExcelへ反映できるため、多種多様な診断書・紹介状の作成も容易です。
さらに、オプションではデイケアとの連携機能もあり、精神科デイケアが併設されているクリニックでも受付や日報記載がしやすいことも特徴です。
産婦人科(Hello Baby Program)

出典:周産期電子カルテシステム Hello Baby Program|株式会社ミトラ
産婦人科では、妊婦健診の週数管理や、分娩経過を記録するパルトグラムの自動作成機能が必要です。「Hello Baby Program」は、超音波診断の結果や新生児経過記録など、周産期医療をトータルでサポートします。
また、総合電子カルテからの起動も可能で、使用中の電子カルテ端末で利用できる点も大きな特徴です。
2. 自由診療(美容クリニック)
保険診療とは異なるビジネスロジックに対応した製品です。
|
製品名 |
特徴・強み |
|
・予約、会計、CRM、在庫管理、コース消化を統合したオールインワンシステム ・LINE連携による予約利便性向上とリピート促進施策 |
|
|
・コース契約管理、Before/After写真比較、WebORCA連携 ・月額45,000円からで端末・人数無制限の高コストパフォーマンス |
medicalforce

出典:medicalforce
自由診療クリニックでは、予約から会計、顧客管理(CRM)、コース管理、物販の在庫管理までを一元管理する必要があります。「medicalforce」は、これらの機能を統合したオールインワンシステムを提供し、経営効率化と売上向上を支援します。
LINE連携機能も充実しており、予約の利便性向上やリピート促進のためのメッセージ配信など、集患・増患に直結するマーケティング施策までカバーします。
MEDIBASE

出典:MEDIBASE
美容外科・皮膚科などの自由診療に特化したクラウド型電子カルテです。コース契約の消化管理やBefore/Afterの写真比較機能に加え、LINE連携予約やCRM機能も搭載。
月額45,000円からで端末台数・利用人数が無制限というコストパフォーマンスのよさが魅力で、WebORCA連携により保険診療にも対応可能です。
3. 訪問・在宅医療
院外での診療活動を支える機動力と連携機能を重視した製品です。訪問診療では、移動中や患者宅での利用が前提となるため、モバイル端末での操作性やオフライン入力機能が重要です。
|
製品名 |
特徴・強み |
|
・訪問スケジュール管理、地図ルート表示、訪問看護指示書の一括作成 ・多職種連携ツール(MCSなど)とのスムーズな連携 |
|
|
・モバイル端末に最適化され、電波のない場所でも使えるオフライン入力 ・過去カルテ引用による文書作成など、入力負担を軽減する機能 |
モバカルネット

出典:モバカルネット
在宅医療に特化したクラウド型電子カルテです。
訪問スケジュールの管理や地図表示によるルート確認、訪問看護指示書の一括作成など、移動と事務作業の時間を削減する機能が豊富です。
多職種連携ツール(MCSなど)との連携もスムーズで、チーム医療をサポートします。
homis

出典:電子カルテ「homis」
モバイル端末に最適化された在宅医療専門のクラウド型電子カルテです。
電波の届かない場所でも使えるオフライン入力機能や、過去のカルテ内容を引用して文書を作成する機能など、現場での入力負担を可能な限り減らす工夫が凝らされています。
電子カルテ導入の費用相場

電子カルテの導入には、初期費用だけでなく、保守費用や更新費用などのランニングコストも考慮する必要があります。
目先の費用に限らず、5年間の総額で比較シミュレーションを行うことが大切です。クラウド型とオンプレミス型のコストイメージは以下のとおりです。
- クラウド型:初期費用0円〜150万円程度、月額費用1万円〜5万円程度。5年間総額で200万円〜400万円程度が目安です。
- オンプレミス型:初期費用300万円〜500万円程度、月額保守費用2万円〜5万円程度。5年ごとのサーバー更新費用が発生するため、5年間総額では500万円〜800万円程度になる場合があります。
活用できる補助金・助成金
導入コストを抑えるために、国や自治体の補助金・助成金を活用しましょう。
活用できる主な補助金・助成金は以下の2つです。
- IT導入補助金:中小企業・小規模事業者向けの補助金です。電子カルテ導入費用の最大50%(通常枠)などが補助されます。スケジュールは随時公募されているため、公式サイトでの確認が必要です。
- 医療情報化支援基金:オンライン資格確認システムの導入や電子処方箋、標準型電子カルテへの対応に関連する費用が補助される場合があります。特に「医療DX」関連の加算取得を目指す場合に重要です。
最新の公募スケジュールや要件は、各省庁や事務局のWebサイトで確認し、ベンダーにも相談しましょう。
参考:IT導入補助金
電子カルテのスムーズな運用のためのポイント

電子カルテを診療現場でスムーズに運用し、定着させるためには事前の準備が不可欠です。
電子カルテの導入を成功させるため、押さえておくべき5つのポイントを解説します。
- 開業・リプレイスのスケジュールには余裕を持つ
- データ移行の可否を確認する
- 電子カルテの「3原則」を基準に選ぶ
- クラウド型の生命線「ネット回線」と「PCスペック」をケチらない
- 最新の電子カルテ導入動向を加味してメーカーを選ぶ
1. 開業・リプレイスのスケジュールには余裕を持つ
電子カルテの選定から本稼働までには、想定以上の時間がかかります。
デモの実施や見積もりの比較検討、契約手続きに加え、院内への機器設置やスタッフへの操作研修など、多くの工程が必要です。
特に注意が必要なのは、インターネット回線の工事です。
光回線の開通工事待ちで数ヶ月を要するケースもあり、システムは準備できても回線がつながらず開業に間に合わないという事態も起こり得ます。
余裕を持って選定を進めるためにも、開業やリプレイス(買い替え)の予定日から逆算して、半年から1年前には検討を開始することを推奨します。
具体的には、以下のスケジュールで導入するのが望ましいでしょう。
【標準的な導入スケジュール】(例:6ヶ月前開始)
- 検討期(6〜4ヶ月前): 資料請求、デモ体験、見積もり比較
- 契約・準備期(3ヶ月前): 契約締結、インターネット回線申込み
- 構築期(2〜1ヶ月前):データ移行作業、院内機器設置、操作研修
- リハーサル(2週間前):模擬診療による運用テスト
- 稼働(当日):本番利用開始、メーカー立ち会い
2. データ移行の可否を確認する
既存の電子カルテから他社製品へ乗り換える際、ハードルとなるのが「過去の診療データの移行」です。
メーカーによっては、データ抽出作業に数百万円単位の高額な費用を請求されたり、画像データや手書きシェーマの移行ができなかったりする場合があります。
完全なデータ移行にこだわると、費用と時間が膨大になるため、現実的な解決策を検討する必要があります。
例えば、以下のような方法が考えられます。
- 過去カルテのPDF化:旧システムのデータをPDFとして書き出し、新システムで閲覧専用として保存する。
- ゼロベース運用:過去データは旧端末を閲覧用として残し、新システムは新規データのみで運用を開始する。
【重要】将来のために「解約時のデータ出力」も確認を
導入時のデータ移行だけでなく、将来解約する際のデータ出力についても確認が必要です。
「解約時にデータは返してもらえるか」「データはPDFだけでなく、他社システムに取り込めるCSV形式や標準規格(HL7 FHIRなど)で出力可能か」を契約前に確認しておきましょう。
3.電子カルテの「3原則」を基準に選ぶ
また、電子カルテの運用においては、厚生労働省が定める「電子保存の3原則(真正性、見読性、保存性)」を満たしているかどうかも、選定時の重要な確認事項です。
もし3原則を満たさないシステムを使用していた場合、医療訴訟や監査の際に「診療録としての正当性(改ざんされていないこと)」を証明できません。結果として、クリニックが法的に不利な立場に追い込まれるリスクがあります。
また、保存性が十分でないと、サイバー攻撃や災害時にデータを消失してしまえば、明日からの診療継続が不可能になります。
「使いやすさ」だけでなく、クリニックと患者を守る観点からも電子カルテを選ぶことが必要です。
3原則の具体的なチェックポイントや、対応していない場合に起こりうるトラブルについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
▼関連記事
電子カルテの三原則とは?厚生労働省の電子保存ルールと具体例を解説
4.クラウド型の生命線「ネット回線」と「PCスペック」をケチらない
クラウド型電子カルテの動作速度は、インターネット回線の品質とパソコンの性能に依存します。
ここをコストカットすると、「クリックしても画面が変わらない」という日々のストレスに直結します。
通信回線とPCスペックは、以下の点を重視して選びましょう。
- 回線(IPv6 IPoE接続): 従来の接続方式(PPPoE)は夜間や混雑時に遅くなりがちです。必ず「IPv6(IPoE)方式」に対応したプロバイダとルーターを用意してください。また、万が一の回線断に備え、テザリング可能なスマホやポケットWi-Fiなどのバックアップ回線を確保しましょう。
- PCスペック: 電子カルテ以外にもブラウザや予約システムを同時に開くため、メモリは最低でも8GB、できれば16GB搭載したPCを選びましょう。ディスプレイの解像度(フルHD以上)も、情報の一覧性に大きく影響します。
5. 最新の電子カルテ導入動向を加味してメーカーを選ぶ
オンライン資格確認の義務化や医療DXの推進など、電子カルテを取り巻く動向は日々変化しています。
将来にわたって使い続けられるシステムを選ぶためには、以下の2つの基準でメーカーを見極める必要があります。
基準①:国が推進する「標準型電子カルテ」とHL7 FHIR
政府は2030年に向けて、医療機関間でのデータ共有を円滑にする「標準型電子カルテ」の普及を推進しています。
これまでの電子カルテはメーカー独自の規格で作られた「ガラパゴス型」が多く、他院とのデータ連携が困難でした。
今後は、厚生労働省が定めるデータ交換の国際標準規格「HL7 FHIR」に対応したメーカーを選ぶべきです。
標準化に対応しているシステムであれば、将来的な地域医療連携や患者のPHR(パーソナルヘルスレコード)との連携もスムーズに行えます。
参考:電子処方箋・電子カルテの目標設定等について│厚生労働省
基準②:診療報酬改定と「医療DX」への対応力
医療現場は、2年に1度の診療報酬改定に加え、電子処方箋やマイナ保険証、サイバーセキュリティ対策など、次々と新たな制度への対応を迫られます。
従来のオンプレミス型では、制度変更のたびに業者が訪問してプログラムを更新する必要があり、コストや手配の手間がかかりました。
一方、クラウド型電子カルテであれば、サーバー側で一括してアップデートが行われるため、常に最新の制度に対応した状態で利用できます。
変化の激しい医療DXの時代において、自動追従できるクラウド型の優位性は高まっています。
さらなる業務効率化へ。「AI音声入力」という選択肢

電子カルテを導入しても、診察後の入力作業に時間がかかり、医師の残業が減らないという課題は多くのクリニックで残されたままです。
「電子カルテの入力負担」を根本から解決する手段として、最新の生成AIを活用した音声入力技術がトレンドになっています。
現在、エムスリーデジカルの「AIスマートカルテ」をはじめ、電子カルテ自体にAI機能が搭載されるケースも増えています。
一方で、今お使いの電子カルテを問わずに導入できる独立型のツールも注目されています。
どのカルテでも使える「MEDISMA AIクラーク」
中でも「MEDISMA AIクラーク」は、診察室での医師と患者の自然な会話を録音するだけで、AIが内容を要約し、SOAP形式(主訴、所見、評価、計画)のカルテ原稿を自動作成するシステムです。
MEDISMA AIクラークの特徴は、特定の電子カルテメーカーに依存しない点です。QRコードなどを介してどのメーカーの電子カルテとも連携できるため、「今の電子カルテは使い続けたいが、入力業務だけを楽にしたい」という場合に最適なソリューションとなります。
▼関連記事
電子カルテの音声入力は役に立つ?AI活用の効果と導入のポイント
自院に最適な電子カルテで診療を効率化しよう

クリニック向け電子カルテの選択肢は多様化しています。失敗しない選定のためには、以下の3点を軸に比較検討を進めてください。
- 提供形態:コストと利便性を重視するなら「クラウド型」、画像の表示速度や堅牢性を重視するなら「オンプレミス型」、BCP対策を重視するなら「ハイブリッド型」。
- 機能適合性:眼科の機器連携や小児科のワクチン管理など、自院の診療科に特化した機能があるか。また、事務効率を左右する「レセコン一体型」かどうか。
- 将来性:「標準型電子カルテ(HL7 FHIR)」や医療DXへの対応方針が明確なメーカーか。
自院の診療スタイルや経営課題にフィットする電子カルテを選ぶことで、業務効率化だけでなく、患者満足度の向上や経営の安定化も実現できます。まずは気になったメーカーに資料請求を行い、デモ体験を通じて実際の操作感を確かめることから始めてみてください。
もし、電子カルテ導入後も入力業務の負担が解消されないとお悩みなら、AI音声入力システム「MEDISMA AIクラーク」の導入もぜひご検討ください。





