【簡単解説】Web問診とは?メリット・デメリットや選び方を解説

【簡単解説】Web問診とは?メリット・デメリットや選び方を解説

スマートフォンを指さす医師

「紙の問診票をカルテに転記する作業が面倒…」という悩みを解決するのがWeb問診システムです。患者がWeb上で来院前に問診票に回答できるため、転記の手間が解消されます。

しかし、Web問診にはメリットだけでなくデメリットや導入上の注意点もいくつかあります。継続的な運用の手間や質問設計の方法など、考慮すべき点を理解したシステム選びが大切です。

本記事では、Web問診の概要からメリット・デメリット、自院に最適なシステムの選び方を解説します。

Web問診とは?

チェック項目が映し出されたパソコンの画面

Web問診とは、患者が来院前や受付時にスマートフォンやタブレットから、Web上で問診票に回答できるシステムです。患者が自宅などの都合のよい場所でいつでも問診を入力できるため、利便性向上につながります。

Web問診について、紙問診やAI問診との違いを解説します。

紙問診との違い

紙問診はすべてを手作業で行うため、記入漏れや患者の字の判読ミス、転記ミスなどが生じるリスクがあります。

一方、Web問診は患者が入力した情報はデータ化されるため、転記作業が不要で判読ミスも生じなくなります。さらに、問診票の保管スペースも必要なく、紛失リスクもありません。

AI問診との違い

AI問診との違いは、質問があらかじめ設定されている点です。AI問診では、患者の入力した症状からより適した問診を行います。例えば、患者が「頭痛」と入力すると、「いつからですか?」「ズキズキしますか、ガンガンしますか?」などと質問します。

AI問診は、患者に合わせて質問されますが、クリニック側でコントロールしにくいシステムです。一方で、Web問診は質問の出現条件などを細かく設定できますが、必要な質問が不足していると十分な情報が得にくくなります。

Web問診を導入する3つのメリット

笑顔でスマートフォンを操作する女性

Web問診の導入は、単なるペーパーレス化にとどまりません。導入するクリニックにもたらす主な3つのメリットを解説します。

  • 【患者満足度向上】待ち時間や回答しにくさを解消
  • 【業務効率化】カルテ取り込みや追加機能で業務負担を軽減
  • 【医療の質向上】判読・転記ミスや聞き漏らしを防止

1.【患者満足度向上】待ち時間や回答しにくさを解消

待ち時間や紙の問診票での回答しにくさをなくし、患者満足度の向上につながります。

来院前に問診を済ませておくことで、院内での待ち時間を短縮できます。受付後の手続きが減るため、スムーズに診察に移れるでしょう。

また、産婦人科や泌尿器科など、デリケートな内容を含む質問に対しても、心理的な負担なく回答しやすいというメリットがあります。

自分のペースで、どこでも回答できるため、回答のしやすさから患者の信頼につながります。

2.【業務効率化】カルテ取り込みや追加機能で業務負担を軽減

問診票の配布や回収、スキャン、電子カルテへの転記など、すべての手作業が必要なくなり、スタッフの業務負担が軽減されます。

さらに、多くのWeb問診システムには、以下のような業務効率化につながる追加機能があります。

  • データ分析機能:問診データから患者の来院経路や広告効果を分析
  • 同意書機能:臨床研究や処置に関する同意書取得をシステム上で実施
  • 検査や処置の事前案内:問診内容に応じて、必要な検査や処置を事前に案内

問診票の記入だけでなく、付随する同意書の取得や検査の案内などを実施しやすくなり、全体の診療効率の向上が期待できます。

3.【医療の質向上】判読・転記ミスや聞き漏らしを防止

紙問診で起こりがちな文字の判読ミスや転記ミスを防止できます。情報の正確性が担保されるため、医療過誤のリスクを低減します。

また、重要な項目を必須設定にできるため、診察に必要な情報の聞き漏らしを防げます。標準化された問診を実施できるため、医療の質の向上につながります。

知っておくべきWeb問診の3つのデメリットと対策

スマートフォンを見ながら悩む女性

Web問診には業務効率化や患者満足度の向上などのメリットがある一方で、デメリットが生じるケースがあります。代表的な3つのデメリットと対策を解説します。

  • ITが苦手な患者への対応が必要
  • 導入や継続的な運用の手間が生じる
  • 質問が多いと効率が悪くなる場合がある

1.ITが苦手な患者への対応が必要

ITが苦手な患者にとっては、Web問診に回答することが難しく感じるかもしれません。とくに高齢患者が中心のクリニックでは、「操作方法が分からず混乱した」「毎回入力するのが面倒」などの声が上がることがあります。

ITが苦手な患者でもWeb問診に回答できるよう、以下のような配慮が必要です。

  • 院内タブレットの設置:受付に設定済みのタブレット端末を準備
  • スタッフのサポート:導入初期は、スタッフが入力方法を丁寧に案内
  • 複数の入力方法:LINE連携など、患者が使い慣れた入力方法を導入

2.継続的な運用の手間が生じる

Web問診システムは、継続的な更新や運用の手間が生じます。とくに、問診票は一度作成したら終わりではありません。季節性疾患の流行や新しい治療法の導入、医師の増員などに合わせて、質問項目を継続的に見直す必要があります。

見直す手間を少しでも減らせるよう、医師だけでなくスタッフも直感的に問診票を編集できるシステムを選ぶとよいでしょう。

3.質問が多いと効率が悪くなる場合がある

質問を簡単に追加できるがゆえに、必要のない質問まで増やしてしまい、問診票が長くなる場合があります。結果的に患者の負担が増え、医師も情報を確認するのに時間がかかるなど、かえって非効率になる可能性があります。

質問効率の低下を防ぐ対策としては、以下のとおりです。

  • 多職種による問診設計:医師だけでなく、患者と接する看護師や受付スタッフなどがチームを組み、患者目線で問診ツリーを作成する
  • 簡潔な設問設計:専門用語を避け、患者が回答しやすい平易な言葉で、5分程度で回答できるような簡潔な設計を意識する
  • 条件分岐の活用:患者の回答に応じて、関連する質問のみが表示されるよう分岐を活用し、必要のない質問をスキップする

複数のスタッフの目線で簡潔で回答しやすい質問設計を目指すことが重要です。具体的な問診票の設計方法については、以下の記事もご覧ください。

▼関連記事:

【診療科別の項目例も】Web問診票の作り方は?作成ポイントを解説

Web問診システムを選ぶ際のポイント

クリップボードを持ち微笑む女性

Web問診システムの選び方で大切なポイントは以下の3つです。

  • 電子カルテや予約システムとの連携性
  • 患者やスタッフにとっての使いやすさ
  • 診療科に応じた機能の有無

1.電子カルテや予約システムとの連携性

電子カルテや予約システムなどの既存システムとの連携が簡単にできるかを確認しましょう。単に「連携できるか」ではなく、具体的な連携方法をデモ体験で確かめることが大切です。

例えば、問診結果がボタン一つでカルテに自動反映されるのか、手動でのコピー&ペーストが必要かによって、業務効率は異なります。

導入検討時には、デモ体験を行って実際の連携機能を確認してみましょう。

2.患者やスタッフにとっての使いやすさ

システムは、患者とスタッフの双方にとって使いやすいものを選びましょう。とくに、以下のように、カスタマイズ性や直感的な操作性は重要です。

使いやすさ

具体例

柔軟なカスタマイズ性

・医師ごとに問診内容を使い分けられる

・季節性疾患の問診を必要時のみ公開できる

直感的な操作性

・どのスタッフも問診票の編集作業が容易に行える

・患者が操作に迷うことなく、スムーズに入力を完了できる

3.診療科に応じた機能の有無

基本機能に加えて、自院の診療科に合った追加機能も確認しましょう。代表的な追加機能は以下のとおりです。

追加機能

説明

活用できる診療科

画像送信

患部の写真を事前に送信

皮膚科、形成外科 など

電子署名付き同意書

法的に有効な同意書をデジタルで取得

自由診療、臨床研究 など

多言語対応

複数の言語に対応した問診が可能

外国人患者が多い地域のクリニック

Web問診システムに関するよくある質問

Q&A

Web問診システムの導入や運用に関して、よくある質問を3つ紹介します。

Q.問診票は1から作らないといけない?

A.ほとんどのWeb問診システムには、テンプレートがあるため、1から作成する必要はありません。内科、小児科、皮膚科、産婦人科といった主要な診療科向けのテンプレートがあります。

テンプレートをベースに、自院の診療スタイルに合わせて質問を追加・修正するだけで、オリジナルの問診票を作成可能です。

問診票のテンプレート例については、以下のコンテンツもご覧ください。

▼Web問診票のテンプレート例

メルプ問診百科

Q.問診票の作成は医師でないとできませんか?

A.直感的な操作性が高いシステムであれば、医師以外でも編集、作成が可能です。実際に、事務長や看護師、理学療法士などの多職種のスタッフが連携して作成するケースが多くあります。

患者と直接かかわるスタッフが中心となることで、患者がより回答しやすく、現場の運用に即した問診表を作成できます。

Q.導入にかかる費用はどれくらいですか?

A.費用はシステムによって異なりますが、一般的に初期費用が10万円~30万円程度、月額費用が3000円~15,000円が相場です。機能の豊富さや電子カルテとの連携レベルによって価格が変わります。

「選ぶだけ」でなく「定着」まで見据えたWeb問診なら「メルプWEB問診」

記録を取る医師

Web問診はスタッフの負担を軽減し、患者満足度や医療の質向上につながるツールです。一方で、自院の運用に合わないシステムを選んでしまい、現場に定着させることが難しいケースも少なくありません。

株式会社ヒーローイノベーションが提供する「メルプWEB問診」は、現場の医師が自らの経験をもとに開発したWeb問診システムです。豊富なテンプレートやカスタマイズ性はもちろん、導入後の手厚いサポート体制でシステム定着をサポートします。

Web問診の導入に関するご相談や、具体的な機能についてのご質問などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

メルプWEB問診

著者PROFILE

スマートクリニック事業推進室長 原拓也
スマートクリニック事業推進室長 原拓也
医療機器メーカー営業としてキャリアをスタートした後、医療ITベンチャーにて生活習慣病向けPHRサービスのプロダクトマーケティング責任者をはじめ、メルプWEB問診の事業責任者を経験。その後、クリニック専用の自動精算機・自動釣銭機の商品の企画・開発を手がけ、現在は「医療を便利にわかりやすく」をミッションにスマートクリニックの社会実装に向け同事業の企画・推進を担当。