【診療科別の項目例も】Web問診票の作り方は?作成ポイントを解説

【診療科別の項目例も】Web問診票の作り方は?作成ポイントを解説

スマホで問診をしている画面

事前の問診票への記入で待ち時間を減らせるのがWeb問診票です。しかし、「紙の問診票と同じ構成でいいのか」「診察の精度を高めるにはどの質問がよいかわからない」など、作り方に悩むこともあるでしょう。

患者にとって答えやすく、かつ診療に必要な情報を漏れなく得られる質問設計が求められます。

本記事では、Web問診票の作り方について、ポイントや診療科別の質問項目を解説します。Web問診票の失敗例と対策も紹介していますので、適切な運用ができるシステム選びの参考にしてみてください。

Web問診票の作り方は?

Web問診票の作り方には、Googleフォームなどのツールで自作する方法と、クリニック向けのWeb問診システムの2つがあります。

自作のWeb問診は作成の手軽さがメリットです。ただし、複雑な質問設計や電子カルテとの連携には限界があります。

クリニック向けのWeb問診システムは、導入コストがかかるものの、電子カルテとの連携機能があります。問診で入力された情報がカルテに自動的に転記され、スタッフの入力負担と転記ミスを削減可能です。

患者やスタッフの利便性向上を考えると、Web問診システムの利用が効果的な方法といえるでしょう。

Web問診票作りのポイント

患者の回答率を高めつつ、診療に必要な情報を得るためには、以下の3つのポイントが大切です。

  • 患者目線で平易な言葉を使う
  • より詳しい情報が得られる設計にする
  • 必要な質問項目のみに絞る

1. 患者目線で平易な言葉を使う

患者から正確な情報を引き出すため、平易な言葉を選びましょう。専門用語は患者の誤解を招き、間違った回答につながる可能性があります。

例えば、以下のように言い換えてみましょう。

  • 血便 → 「便に血が混じりますか?」
  • 倦怠感 → 「体のだるさ」や「疲れやすさ」
  • 浮腫 → 「むくみ」

専門用語を使う必要がある場合は、「アナフィラキシー(急な重いアレルギー反応)」のように、補足説明を加える配慮が適切です。

2. より詳しい情報が得られる設計にする

診察に必要な情報を事前に得るためには、より詳しい情報を集める質問設計を意識してみましょう。具体的には、以下のような工夫があります。

  • アレルギー情報:薬剤アレルギーと食物アレルギーは、項目を分けて質問することで混同を防げます。
  • 痛みの性質:痛む部位(頭、喉など)だけでなく、「ズキズキする」「締め付けられる」などの痛みの性質や程度を質問することで、診断の手がかりが増えます。
  • 妊娠の可能性:女性患者には「妊娠していますか?」ではなく、「妊娠の可能性がありますか?」と尋ねると正しく把握できます。

3. 必要な質問項目のみに絞る

詳細な情報を得たいあまり、質問項目を増やしすぎると患者の入力負担が増大してしまいます。回答の質が低下したり、途中で離脱してしまったりする原因となります。

この問題を解決するのが、患者の回答に応じて次の質問を出し分けるドリルダウン形式です。例えば、「咳はありますか?」という質問に「はい」と答えた患者にのみ、咳の具体的な症状を尋ねる追加質問を表示します。

ドリルダウン方式図

患者の回答に応じて質問できるため、不要な質問を省略しつつ、質問を深掘りして尋ねることが可能です。

Web問診票の質問項目例

Web問診票の項目例について、全診療科共通の基本項目と診療科別の項目にわけて紹介します。

【全診療科共通】基本の質問項目

  • 主訴:一番困っている症状
  • 現病歴:いつから、どのような経緯で症状が現れたか
  • 既往歴:過去にかかったことのある大きな病気や手術歴
  • アレルギー歴:薬剤、食物など
  • 服薬状況:現在服用中の薬、サプリメント
  • 生活習慣:喫煙歴、飲酒歴
  • 女性向け:妊娠の可能性、授乳の有無

【診療科別①】内科

内科は対象とする疾患が幅広く、さまざまな症状の患者が来院します。そのため、症状を体系的に整理することが大切です。

質問内容

項目例

生活習慣病関連

高血圧、糖尿病、脂質異常症などの治療歴や家族歴

健康診断結果に関する項目

「健康診断で異常を指摘されましたか?(はい/いいえ)」と尋ね、「はい」の場合、指摘内容(血圧、血糖値、コレステロール値など)を質問

症状の部位別分類

頭痛、胸痛、腹痛など、症状が出ている部位ごとに質問を分類し、患者が回答しやすくする

 

【診療科別②】小児科

小児科では、保護者が回答することを前提とした質問設計が求められます。

質問内容

項目例

予防接種歴

定期接種・任意接種の状況

発育・発達に関する情報

出生時の体重、首すわりや歩行開始時期、言葉の発達など

周囲の感染症流行状況

通っている保育園や学校、兄弟間での流行状況

体重

薬剤の投与量を決める上で必須の情報

 

【診療科別③】整形外科

整形外科では、痛みの部位や状況を視覚的に、かつ具体的に把握することがポイントです。

 

工夫・質問内容

質問項目例

シェーマ(人体図)の活用

人体図から痛む部位を直接タップして選択

患部の写真アップロード

腫れや皮膚の状態などを画像で共有

痛みの発生状況

「いつから痛みますか?」

「何をしているときに痛みますか?」

日常生活への影響

痛みによって日常生活で困っていること

(着替え、歩行、仕事など)

 

【導入失敗例から学ぶ】Web問診票でよくある3つの落とし穴と対策

Web問診票はどこでも回答できる便利さがある反面、慣れていない患者にとってはかえって使いにくい場合があります。Web問診を導入する際のトラブルにならないよう、よくある失敗事例を理解しておきましょう。

失敗例①:患者の利用が進まない

高齢の患者が多いクリニックでは、「スマートフォンが苦手」という理由からWeb問診の利用が進まないことがあります。特に、事前の案内が十分でないと積極的に利用する患者は増えにくいでしょう。

対策としては、丁寧な事前案内やスタッフによるサポートが必要です。受付スタッフが操作方法を案内したり、院内にタブレットを設置して入力をサポートしたりするとよいでしょう。院内ポスターやリーフレットでも、待ち時間短縮などのWeb問診のメリットをわかりやすく伝えることも有効です。

また、入力しやすい質問設計も大切です。写真アップロードや自由記述の項目を減らし、選択式が中心のシンプルな問診票の方が回答しやすいでしょう。

Web問診の利用率が伸び悩む場合は、対策を検討してみましょう。

失敗例②:電子カルテとの連携が悪く入力が二度手間になる

Web問診システムは、電子カルテと連携することで、患者が入力した内容が自動でカルテに反映されます。しかし、導入後に連携がスムーズにいかず、結局手入力で転記するなど二度手間になるケースがあります。

導入前に電子カルテや予約システムとの連携方法を確認しておきましょう。ワンクリックで転記されるのか、受付時に自動で転記されるのかなど、具体的な連携のスムーズさをチェックしておくことがおすすめです。

可能であれば、無料デモやトライアルを利用し、実際の連携のスムーズさを体験してみることも有効です。

失敗例③:問診の情報が多すぎて確認に時間がかかる

よかれと思って質問項目を増やした結果、診察前に確認すべき情報が膨大になり、かえって診療効率が落ちてしまうケースもあります。質問項目は本当に必要な情報だけに絞り込み、患者も医師も確認しやすい内容が適切です。問診項目数が適切かどうか迷う場合、同じ診療科のWeb問診票を参考にしてみるとよいでしょう。

▼Web問診票のテンプレートはコチラ

問診百科│メルプWEB問診

失敗しないWeb問診システムの選び方

クリップボードとPC

Web問診票は適切なシステムを選ぶことで、自院に最適な運用が可能です。失敗しないWeb問診システム選びには、以下の3つが重要です。

  • 質問を柔軟にカスタマイズできるか
  • セキュリティ対策とサポート体制は万全か
  • ベンダーの医療現場に対する理解が深いか

1. 質問を柔軟にカスタマイズできるか

Web問診票の内容は、ベンダーから提供されるテンプレートがあるのが一般的です。しかし、診療内容の変化や改善したい点に応じて、導入後に医療スタッフが調整することもあります。

スタッフが自力で設定できるよう、質問項目の追加や編集、回答分岐の設定が知識がなくても直感的にできるかを確認しましょう。カスタマイズ性が低いと、システムがなじまずに形骸化する可能性があります。

2. セキュリティ対策とサポート体制は万全か

Web問診システムは、患者の医療情報を扱うため、セキュリティ対策は不可欠です。具体的には、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した対策が取られているかを確認しておきましょう。

また、導入後の操作不明点やトラブル発生時のサポート体制も重要です。対応時間や休日の対応可否など、迅速かつ的確に対応できる体制があるかチェックしましょう。

参考:医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版(令和5年5月)|厚生労働省

3. ベンダーの医療現場に対する理解が深いか

Web問診システムは、一度導入すれば数年にわたって運用するため、医療業界の変化に対応できるベンダーであるかが重要です。例えば、現役の医師が開発にかかわっていたり、豊富な医療機関への導入実績があったりするベンダーは、現場のニーズや課題への理解が深いでしょう。

特に以下のような将来性にかかわる点は、長期的な運用には欠かせません。

  • 診療報酬改定などの医療制度の変化への対応
  • ユーザーの声を反映した機能改善

「数年後も安心して使い続けられるか」という点で、ベンダーの実績や将来性を確認しておきましょう。

Web問診票の活用で患者から選ばれるクリニックへ

手を握る受付スタッフ

Web問診票はスタッフの負担軽減や患者の待ち時間削減につながるツールです。適切な質問設計で、患者とスタッフにとってわかりやすい問診票をつくることで、医療の質向上につながります。

しかし、多忙な診療業務の中で、問診票を一から作成して導入するのは難しい場合もあります。Web問診票の作成やシステム選定にお悩みでしたら、専門家のサポートを活用することもよいでしょう

株式会社ヒーローイノベーションでは、Web問診システム「メルプWeb問診」をご提供しております。現役医師が開発した医療現場に寄り添ったサービス内容で、すべての電子カルテに1クリックで連携可能です。

相談は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

メルプWeb問診