電子カルテの普及率は?普及しない理由5つと国の推進への取り組み|MEDISMA|診療に必要な機能をワンパッケージ

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電子カルテの普及率は?普及しない理由5つと国の推進への取り組み|MEDISMA|診療に必要な機能をワンパッケージ

電子カルテの普及率は?普及しない理由5つと国の推進への取り組み

  • 2025年11月27日
  • AI

「電子カルテを導入すべきか迷っている」「他の病院での電子カルテの運用状況はどうなのだろうか?」と疑問を感じていませんか。

本記事を読むことで、最新の普及状況と多くの医療機関で導入に二の足を踏む「共通する5つの壁」が明確に理解できます。

さらに、国の強力な推進策や、導入をスムーズに進める具体的なコツがわかります。

電子カルテ導入のリスクとメリットを正しく把握し、2030年普及率100%時代に向けて、経営判断を最適化するヒントを得てください。

電子カルテの普及率はクリニックで55%

厚生労働省が公表した最新の「医療施設調査」によると、電子カルテの普及率は病院・一般診療所ともに上昇傾向にあります。特に、規模の小さなクリニックでの普及率が大きく伸びています。

施設区分

2020年

2023年

一般病院

57.2%

65.6%

一般診療所(クリニック

49.9%

55.0%

参考:電子カルテシステム等の普及状況の推移|厚生労働省

2030年までの普及率100%を目指す政府の方針の後押しにより、特に一般病院では60%を超えた電子カルテの普及率になっています。

しかし、日本全体で見ると、他国に比べて電子カルテの普及率は低い水準にあります。

米国や欧州諸国と比較すると、日本は普及の遅れが指摘されています。

電子カルテが十分普及しない5つ理由

国が強力に普及を推進しているにも関らず、電子カルテの導入が想定どおり進まない背景には、主に以下の5つの課題があります。

これらの課題は、特に中小規模のクリニック経営者が抱える共通の悩みであり、一つずつ解決策を探ることが、DX化成功には不可欠です。

それぞれの背景を詳しく見ていきましょう。

導入コスト(初期費用・月額費用)が高い

電子カルテを導入する際の最大の障壁の1つが費用です。導入コストには、次のように「初期費用」「月額費用」を考える必要があります。

  • 初期費用:システムの購入費、サーバー機器の設置費、ネットワーク構築費などの初期投資
  • 月額費用:メンテナンス費用、クラウド利用料、システムのバージョンアップ費用などの月額費用

特に個人経営のクリニックにとって、数十万〜数百万円に上る初期費用は、経営を圧迫する大きな負担となり、導入を見送る理由となっています。

操作の習熟や移行作業に対するスタッフの不安

新しいシステムを導入する際、スタッフから強い抵抗感が出ることが少なくありません。

長年、紙カルテやレセコンの操作に慣れているスタッフにとって、新しいシステム操作を覚えることへの不安があります。

また、既存の患者データを新しいシステムに移し替える作業や、移行期間の業務負荷増大への懸念があります。

ITや機器に不慣れなスタッフは、「私の仕事が電子カルテに奪われるのではないか「電子カルテをうまく操作できないと仕事できなくなるのではないか」など、自身の仕事への影響に恐れを感じてしまう場合もあるでしょう。

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電子カルテの使い方|医療事務への教え方と入力負担を減らす秘訣

院長がITに苦手意識を持っている

電子カルテ導入の最終決定権は院長にあるケースが多く、院長のITリテラシーや苦手意識がネックとなることがあります。次のように院長には懸念点があります。

  • システムの選定
  • 導入後のトラブル対応
  • セキュリティ対策

これらのITに関する判断を避けたいという心理が、導入を遅らせる原因の1つとなっています。

ネットワーク環境などインフラ面に課題がある

電子カルテ、特にクラウド型のシステムは、安定したインターネット接続が必須です。

電子カルテの導入コストのほかに、院内のLAN環境やセキュリティ対策に必要なインフラ整備の費用、地方や古い建物では、高速で安定したネットワーク回線の確保の難しさなどが、導入のハードルを上げています。

また、規模が大きいクリニックの場合、院内どこからでもアクセスできるよう無線LANの整備が必要となり、その設計や導入に専門的な知識や高額な投資が必要になる点も課題です。

トラブル時の運用が想像できずリスクを避ける

紙カルテの場合、火災や水害などの物理的なリスクを除けば、システムダウンの心配はありません。

しかし、電子カルテでは以下のリスクが懸念されます。

  • システム障害:サーバーダウンやネットワーク障害が発生した場合、診療が停止するリスクがある
  • データ消失:データのバックアップ体制に不安がある場合、過去の診療記録が失われるリスクがある

特に、緊急時や災害時に診療が継続できるかというリスクがあるため、「現状維持」を選ぶ医療機関が多いのです。

このため、多くの医療機関は、災害発生時にも手書きの診療を続けられるよう、システムがダウンした場合の「バックアップ計画」の策定を重荷に感じています。

電子カルテの普及に向けた厚生労働省の取り組み

厚生労働省は、医療の質向上と情報共有の効率化を目指し、電子カルテの普及を国家プロジェクトとして推進しています。

これらの取り組みは、補助金制度の拡充や診療報酬上のインセンティブ措置を含んでおり、導入を検討するクリニックにとって追い風となっています。

2030年までに電子カルテの普及率100%を目指している

厚生労働省は、2030年(令和12年)までに主要な医療機関における電子カルテの普及率を100%にするという目標を掲げています。

この目標達成のため、補助金制度の拡充や、システム導入を促進するための診療報酬上の加算措置(インセンティブ)を設けているのです。

2025年度中に電子カルテ情報共有サービスを導入する

国は、2025年度中に「電子カルテ情報共有サービス」の本格稼働を目指しています。

これは、異なる医療機関間で患者さんの診療情報を共有できるようにする仕組みです。

このサービスが実現することで、初診時でも患者の過去の診療記録をスムーズに参照できるようになり、医療の継続性と安全性が高まります。

本サービス導入は、電子カルテの「導入メリット」が大幅に高まり、普及を加速させる強力な動機付けとなると期待されています。

電子カルテをスムーズに導入を進めるコツ

電子カルテ導入を成功させるには、普及が進まない理由を理解し、不安を解消するための計画的な準備が必要です。

  • スタッフの不安解消:導入前にデモンストレーションを実施したり、使いやすい練習ツールを提供したりすることで、スタッフの操作への抵抗感を減らす
  • 段階的な導入:機能を一気に全て切り替えるのではなく、会計システムや予約システムなど、負荷の少ない部分から段階的に移行する
  • クラウド型の検討:サーバー設置などの初期投資を抑えられ、システム管理の手間が少なくする

電子カルテへの入力を効率化する方法については、下記の記事でも詳しく解説しています。

スムーズに導入するためにも、スタッフの苦手意識や不安を解消していきましょう。

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電子カルテ入力は難しくない!練習ツールや代行入力、音声入力AIを紹介

電子カルテの普及率に関するQ&A

電子カルテの普及に関して、よくある質問をご紹介します。

特に、コストや運用に関する疑問はつきものです。

ここで、あなたのクリニックが導入を決断するための具体的なヒントを見つけてください。

Q1:電子カルテ導入に適したタイミングはいつですか?

診療の繁忙期を避け、スタッフ全員が比較的落ち着いているタイミングが適しています。

一般的には、年度初めや長期休暇明けなど、区切りが良い時期を選ぶと、スタッフ教育やデータ移行に集中しやすくスムーズです。

また、診療報酬改定に合わせてシステムを検討する医療機関も多くあります。

最適なタイミングを見極めるには、メーカーに相談し、導入から運用までの具体的なスケジュールを逆算して組む必要があります。

Q2:機器の操作が苦手なスタッフが多くても運用できますか?

機器の操作が苦手なスタッフが多くても、電子カルテは運用できます

最近の電子カルテは、直感的なタッチ操作や、音声入力AIなど、ITが苦手な人でも使いやすい工夫がされています。

また、導入後にメーカーによる徹底した研修を受けたり、入力代行サービスを利用したりすることで、習熟のスピードをカバーできます。

重要なのは、導入前にトライアル期間を設け、実際にスタッフが操作感を確かめることです。

使いやすさを重視したシステム選びが、運用定着には欠かせません。

Q3:電子カルテとレセコンの連携は必要ですか?

電子カルテとレセコンの連携は、必須ではありませんが推奨されます。

電子カルテにレセコン機能が統合されている「一体型」がスムーズですが、連携させることで、カルテ入力内容が自動的に会計やレセプト作成に反映され、二重入力の手間やヒューマンエラーを防ぐことができます

現在、多くのクリニックでは業務効率化のため、レセコン機能を内蔵した「一体型」を選ぶ傾向が強まっています。

これにより、システム管理の一元化と、コスト削減も期待できます

電子カルテの導入を早めに進めよう!

電子カルテはクリニックでの普及率が50%を超え、今や国の医療インフラへの参加や円滑な情報共有のために必須の標準システムとなっています。

普及が進まない背景の一つには、キーボードによるカルテ入力の負担がありますが、これを解消するのがAIクラークです。

AIクラークは、診察中の会話からカルテの下書きを自動作成し、医師の記載負荷を大幅に軽減します。

これにより、医師は患者対応に集中でき、診療の効率化と質の向上が図れます。また、人的コストを最適化しつつ、構造化された正確なデータ入力を促すため、電子カルテ導入の利点を最大限に引き出し、医療DXを推進するポイントとなります。

ヒーローイノベーションでは、「MEDISMA AIクラーク」を提供しています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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<参考サイト・文献>

電子カルテシステム等の普及状況の推移|厚生労働省

医療DXについて|厚生労働省