「AI」を活用した診療への関心
もともとAIには強い関心があり、開業前から「AIを活用した診療ができればいいな」と考えていました。実際に何社か電子カルテAI音声入力システムを比較検討していたのですが、先輩のドクターがすでに導入されていて、「中身が非常によくできているし、効率化にもつながる。使い心地も良い」と伺ったことが大きかったですね。各社を検討した結果、費用面も含めてMEDISMA AIクラークの条件が非常に良かったため、「まずは使ってみよう」と思い導入を決めました。
耳鼻咽喉科 やまもとクリニック

紙カルテの時代から電子カルテ、そして医師事務作業補助者の活用へ。カルテ入力の方法は時代とともに進化してきました。
そうした変化を医療現場で体感してきた山本聡先生(耳鼻咽喉科 やまもとクリニック院長)が、約30年の臨床経験を経て、開業時に選択されたのがAI音声入力システム『MEDISMA AIクラーク』の導入でした。
「AIを使うことで医療の透明性が担保できる」「診察で患者さんと向き合う時間を増やしたい」との思いから導入したAIクラークは、診療の在り方にどのような変化をもたらしたのか。
開業から1年あまり経過した今、AIクラークの実際の運用や効果について、山本聡院長に詳しくお話を伺います

もともとAIには強い関心があり、開業前から「AIを活用した診療ができればいいな」と考えていました。実際に何社か電子カルテAI音声入力システムを比較検討していたのですが、先輩のドクターがすでに導入されていて、「中身が非常によくできているし、効率化にもつながる。使い心地も良い」と伺ったことが大きかったですね。各社を検討した結果、費用面も含めてMEDISMA AIクラークの条件が非常に良かったため、「まずは使ってみよう」と思い導入を決めました。
私は大学病院に14年、地域医療支援の基幹病院に17年勤務してきました。最初は紙カルテの時代で、上司の先生の口述を筆記するところからスタートしました。その後、約20年前に電子カルテが普及し始め、慣れてくるとオーダリングなど様々な機能を活用できるようになりました。さらに約10年前からは、保険点数上の評価もあり、医師事務作業補助者と一緒に診療するようになりました。
カルテ入力は時代とともに進化してきましたが、それぞれにメリット・デメリットがあります。AIを使うことで、患者さんと医師の会話をすべて録音し、文字起こしや要約を行う仕組みは、医療の透明性を担保する意味でも非常に意義があると感じています。
人は機械ではないので、どうしても自分の都合の良いように解釈してしまうことがあります。しかし医療情報は、できる限り正確にカルテへ反映されるべきです。その点、話した通りの内容を要約してくれるのがAIクラークです。
医師事務作業補助者の方と仕事をして感じたのは、教育に非常に時間がかかるということです。基本的には医療の専門教育を受けていない方がほとんどですから、医療用語や正確な記録方法を一から教える必要があります。まず知識をつけるのに1年。医学的理解が深まるまでにさらに1年。実際に戦力として安定するようになるのは、最低でも3年目くらいからですね。しかし病院では異動もありましたので、また一から教育し直すケースも少なくありませんでした。教育に見合った対価がなかなか得られにくいというのが率直な印象です。
さらに、対人関係ですから感情面の配慮も必要です。「ここは書きすぎかな」「少し違うな」と思っても、強くは言いにくい場面もあります。その点AIは、気を遣う必要がありません。修正も遠慮なくできますし、教育も不要ですので気楽に使える点も魅力に感じます。
そして、人件費の面でも考えると、人を雇うと最低でも月10万円程度はかかりますが、AIクラークの月額費用はそれよりも抑えられています。結果的に1名分の人件費削減につながっています。
また今回、滋賀県の人口約2万人の町で、医師少数地域に開業しました。これまで耳鼻咽喉科がなかった地域です。医療インフラも十分ではなく、医師事務作業補助者として即戦力になるような人材もなかなか見つかりません。そうした状況も考えると、教育不要というAIの特性は大きなメリットでした。
一番大きいのは、患者さんと向き合える時間が増えたことです。以前はカルテ入力をしながら、画面と患者さんの顔を交互に見ていました。今は診察中、ほぼ常に患者さんの前にいて会話ができます。積極的に目を合わせられるので、患者さんの「話を聞いてもらえている」という安心感につながっていると感じます。
患者さんは診察ユニットのチェアに座り、私は約1メートルほどの距離でパソコンを見ずに患者さんと会話します。診察時は私が録音マイクの前に出て、私の後ろで全体の音が聞こえるような状態にして録音しています。その内容をAIクラークが聞き取って、SOAP形式(S=主観情報、O=客観情報、A=評価、P=計画)に要約してくれます。
例えば「右の鼓膜が赤いですね。中耳炎の可能性があります。抗菌薬の内服が必要ですから3日分出しますので、また次回来てくださいね」と話すと、S(主観情報):耳が痛い、O(客観情報):鼓膜が赤い、A(評価):中耳炎の疑い、P(計画):抗菌薬3日分投与、3日後再診、所見の再確認を行う、といった形で反映されます。
AIクラークは話さないと音声を拾ってくれませんし、音声が無いとAIの考えた内容が誤って書かれてしまうこともあります。そのため、診察中は具体的に言葉を発することを心がけ、診療内容を患者さんに説明する意識も自然と高まりました。患者さんにも伝わりやすいですし、音声が要約される分、自らカルテを全部書かないといけないという手間は、やはり減ってきました。
「患者さんとの会話→処置→説明→次回来院調整→患者さん退出後にカルテ入力」といった診察の流れ自体はこれまでと変わりません。ただ以前は、忙しくなってくるとP(計画)部分など一旦端折って、カルテをきっちりと作成できないこともよくありました。しかし現在は、AIクラークのおかげでそういったことがありません。最初の問診から始まり、最終的なプランや次回予約まで会話を聞いて、文字に起こしてくれるのでとても便利です。
診察開始前に録音ボタンを押し、患者さんが入室されて「こんにちは」から録音が始まります。そして大体「ありがとうございました」の退室されるタイミングで停止します。診察時間は短い方で3分、長い方で10分ほどです。長時間の録音になると、要約の作成に時間を要してしまうので、その時間が勿体ないなという時は少し早めに録音を停止して、時間を調整することもありますね。
要約待ちの時間には、検査結果の画像の貼り付けや(画像サーバーのフォルダから、選択してカルテに持ってくる)処方箋発行など次の作業を進めます。要約が完成したらカルテへ貼り付けて、内容を軽く確認して次の患者さんへ、という流れです。要約時間については、今後さらにスピードが向上するとより使いやすくなって嬉しいですね。
初診は基本的に全員使用しています。再診でも内容が多い場合は使いますが、予約調整や処方のみの場合は使用しません。ただ、当院は使い放題プランで契約しているため、回数を気にせず使える点は大変ありがたいです。
患者層は、ご高齢の方が約5割、働き世代が2割、お子さんが3割ほど。1日の来院数は日によって異なりますが40〜80人です。ご高齢の方は診察が長くなりがちですが、生活背景や人生歴などを含めて録音し、必要部分だけ要約してくれる点は非常に助かっています。
修正が必要なのは全体の1割程度でしょうか。9割はほぼ問題ありません。ただ、薬品名の誤認識は比較的多いです。例えば、抗生物質のジェニナップがデニナップと入力されていたり、半分程度は修正しています。
一方で、英語を日本語へきれいに翻訳してくれる点は非常に助かっています。日本語があまり得意じゃない外国籍の患者さんが来院された際にも有用です。
改善点としては、要約の文章形式がやや長いことでしょうか。文章は正しくても、カルテとしてはもう少し簡潔でも良い場合があります。また、会話の内容から、AIが書き過ぎていることもあります。そのため、私は情報を足すというよりは「引き算」をして利用することが多いです。今後、医師ごとの思考スタイルに合わせたカスタマイズができるとさらに良いと感じています。
操作面は非常に簡単です。私はメインモニターに電子カルテ、サブモニターにAIクラークを表示しています。サブモニターには、他にも画像フォルダや院内の監視カメラなど、色々な情報が見れるように4分割で表示していますが、カーソル移動だけで操作できるため、不便に感じたことはありません。
やはり多くの患者さんを診なければならない先生には特に有用だと思います。カルテ作成にかかる時間を削減できます。もちろん、どの診療科の先生でも活用できると思いますが、診療効率を高めたい先生には特におすすめしたいですね。
