録音を意識的に残す話し方で、初診・再診どちらも効率的に利用できる
診察終盤に次回予約の話をして、会話が終わるタイミングで録音を終了します。そこからAIが要約を生成する間に、処方や確認作業を進めます。生成結果が出たらS(主観的情報)やA&P(評価・計画)の必要部分をコピーして転記しています。転記にかかる作業時間は1〜2分程度です。
診察中の会話として血圧などは読み上げますが、例えば「呼吸音:清」「心雑音なし」といった所見については、本人を目の前に言葉に出すことは少し抵抗があり、口頭で述べるようなことはあまり行っていません。採血結果の説明がO(客観的情報)に入った時は、その情報を使いますが、現状の使い方ですとO情報が少ないため、再診の方は前回のカルテをコピーして、そこにSやA&P情報を転記するような使い方が多いです。
初診の患者さんに関しては、前回のカルテが無いので、基本的には全ての要約内容をコピーして転記しています。そのため、初診の場合は診察内容をできるだけ口に出すことを心がけています。また、患者さんが退室されてから、検査項目などO情報になるような内容を録音しておくと、そちらも要約されるので後が楽になります。このように録音を意識的に残すような使い方で、初診・再診ほとんどの患者さんに対して使用できています。
診察中の話し方で気を付けていること
血圧や体重の数値など、今まではあまり口に出して伝えることはなく、計測結果の用紙を見て手入力していました。しかし現在は「血圧いくつですね、脈拍いくつで問題ないですね」といった感じで、録音に吹き込むためにあえて口に出すようにしています。「採血の異常はありませんでしたよ」と計測結果の用紙を渡すだけではなく、「ヘモグロビンの数値は〇〇で、貧血はありませんね。肝機能は〇〇で大丈夫でしたね」といった感じで口に出すと、「肝機能が〇〇で正常」とカルテに入力されて、監査の時などにも役立つなと思ってます。薬の名前についても、「この薬とこの薬でいいですよね」など薬品名で確認しているので、「何と何を処方する」というようにカルテに入力してくれます。
また、このような話し方をすることで、患者さん本人も分かりやすいですよね。特に、生活習慣病の患者さんは食事制限など大変ですが、そこを頑張ろう!と思っていただけるように「数値良くなってましたよ」と具体的にお伝えすると、モチベーションも上げてもらえるのかなと思います。他には、酸素を計測した際、カルテに「spo2」と書いてもらうために、「サチュレーション」ではなく「spo2は98パーセントです」と言った方が良かったりしますね。
要約結果の修正は1、2割程度で許容範囲内
修正の割合は全体の1〜2割程度に収まっています。実際と異なる内容がある場合は、コピー選択のチェックボックスから外して転記しないこともありますが、誤字修正や薬品名の訂正を行うくらいの修正レベルで、大きな負担ではありません。
身体所見は、医学用語が並ぶセクションでどのぐらい拾ってくれるかまだ肌感覚が掴みづらいですが、「呼吸音:清」と書いてほしいところが「肺音、心音:正」と書いてあったりします。
また、患者さんの言葉を拾う際、例えば、ご夫婦の奥様が「お父さんの薬が多くて…」といったような言い方をされていると、本来は「主人の薬」が「父の薬」になってしまうことがあるので、そういった点は修正を行っています。
薬品名は正しく出なかったり、惜しいことはよくあります。患者さんの発音や私の言い方もあるので、それはしかたがないかなと思います。今後は、よくある薬品名などはAIが覚えて入るようになってくれると嬉しいですね。