青和クリニック - MEDISMA AIクラーク導入事例

診療の流れと業務負担が変わる!
WEB問診×AI音声入力で実現する“無駄ゼロ”オペレーション

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2025.06.10
青和クリニック|高橋 佐智子先生
診療科
  • 内科

近年、医療現場における業務効率化や患者満足度向上の一手として、WEB問診(メルプ)、WEB予約(メディカルパス)、さらに電子カルテAI音声入力(メディスマ AIクラーク)の活用が進んでいます。特に電子カルテへの入力は、医師の大きな負担となっていましたが、AI音声入力の登場で、診療中にリアルタイムにSOAP形式で音声入力ができるようになり、医師の負担軽減と患者さんとの対話時間の確保が両立できるようになりました。
これらのツールを組み合わせ、診療フロー全体をシームレスに設計・最適化している青和クリニック様の実例は、医療DXの実装モデルとして注目されています。今回は、院長の高橋佐智子先生に、一連の診療オペレーションと実際の運用についてお話を伺いました。

診療の流れとWEB問診の位置づけについて教えてください

診療の流れとWEB問診の位置づけについて教えてください

”診療が始まっている”という安心感

まず、初診の患者さんには、事前にメルプWEB問診にて最低限必要な情報(年齢、主訴、自覚症状の程度、小児の場合は体重)を入力していただきます。WEB問診は基本的にすべての患者さんが対象で、事前の入力がない場合は来院後にQRコードをご案内し、その場で入力してもらいます。スマートフォンを所持していない方やご高齢の方に限り、紙問診で対応しています。
これにより、患者さんご自身に「問診に回答=診察が始まっている」という意識を持っていただけているようで、受付から診察までの流れが明確となり、ご自身の順番や進行状況を把握されている印象です。そのため、待ち時間に対する不安や不満が軽減されるという効果も見られます。
ただし、WEB問診はあくまで診療の出発点であり、医師は診察時に患者さんと対話をしながら、状況に応じて情報を補完しています。必要な情報のベースを問診で押さえ、残りを診察中に精緻化するイメージです。

診察前を“差配“する役割も

また、診察前の患者さんの行動を差配できます。発熱の患者さんはWEB問診の内容に応じて、自動的に発熱外来スペースへ誘導されます。インフルエンザや新型コロナウイルスの検査を希望されている場合には、診察の前にそれらの検査を実施しておくことで、その後の診断や処方がスムーズに進むようにしています。
また、循環器などの慢性疾患の再診では、WEB予約情報とWEB問診の内容をあらかじめ確認し、必要な検査(心電図など)を医師がWEB問診の管理画面(受診内容欄)に事前に入力しています。その情報は予約システムと連携され、スタッフはその管理画面で検査指示を確認し、受付後すぐに患者さんを診察前の検査にご案内できるようになっています。
また、問診から緊急性があると判断した場合、スタッフが正確な状況を確認、トリアージを行い、早めに診察や検査を開始できるように医師に報告するといったこともできます。このように、WEB問診は診察前に患者さんの動線を整え、必要な検査をあらかじめ完了させる“振り分けと準備”の機能を果たしています。その結果、診察の流れは無駄なく一方向に進み、患者さんが診察後に再度検査を受けに戻るといった動線上のロスを極力減らすことができています。
WEB問診は、単なる事前情報の収集ツールではなく、診療の質と効率を高める“起点”として機能しています。

実際の診療で電子カルテAI音声入力システム(AIクラーク)は、どんな場面で使用されていますか。

事前検査・問診に時間を要する患者さんに効果大

診察は、WEB問診で得られた情報を電子カルテで確認しながら行います。たとえば発熱の患者さんに『いつから熱がありますか?』と確認するのですが、WEB問診入力時点では把握できなかった症状が診察時に判明することもあるため、診察中に必要な情報を追加で聞き取りながら進めています。
発熱など比較的簡単なケースでは、電子カルテにテンプレートを設定して、所見(A)や計画(P)の部分をクリックで入力処理できるようにしています。症状によっては、AIクラークを使って音声でSOAPを生成することもあります。

AI音声入力が特に有効に機能する場面

① 事前検査をした患者
一方で、超音波検査を受ける方は、受付後にまず検査を受けていただきます。終了するとその検査結果は電子カルテ内の文書にスキャンされた状態で、患者さんは診察室に入られます。超音波検査では、所見をカルテに詳細に記録する必要がありますが、その際にAIクラークが非常に役立っています。結果を見ながら患者さんに説明する口頭内容をAIクラークが要約してくれますので、電子カルテの入力が大幅に短縮できています。

② 初診の問診が長くなると想定される患者
また、健康診断などで腎機能の数値が悪く、精密検査を必要とするような初診の患者さんの場合、問診が長くなる傾向があります。そのような場合もAIクラークは効果を発揮します。長時間に及ぶ会話内容を正確に記録・要約してくれることで、診療時の入力作業を軽減しながら、内容の抜け漏れを防げています。

AIクラークが生成した内容を修正することはありますか?また診療の中で変化したことがあれば教えてください

生成内容を活かしながら整える運用スタイル

AIクラークが生成するSOAPは情報量が豊富で、診療内容を幅広くカバーできる特長があります。ただ、予測として文章が生成されることもあり、実際にそこまで話をしていない場合は、文章の一部を取捨選択し、最適な形に整える必要があります。
また、ときどき固有名詞や商品名の表記など細かな部分で修正が必要になることもありますが、多くの場合、生成された内容をもとに効率的にカルテが完成します。

AI活用が促す“伝わる説明”への意識

AIクラークを活用するなかで、自然と患者さんとの話し方に変化が出てきました。たとえば、「結果は前回と変わりなかったです」といった簡略な表現ではなく、「心臓の壁の動きに問題はなく、収縮率は○○%でおちついている」「肝臓の血管腫の大きさは○○mmで昨年と変わりない」といったように、より具体的かつ明確な言い回しを意識するようになりました。

AIクラークの導入効果として実感されていることはありますか

診療の質と効率、そして疲労軽減を同時に実現

AIクラークを導入してから、1人あたりのカルテ記入にかかる時間が平均で2分程度短縮されていると考えます。たとえば、超音波検査の診察時間自体は従来どおり早い場合は3〜4分ですが、カルテ記入は3〜4分から1〜2分に短縮されており、その分、診療全体にかかる負担が軽減されている印象があります。
実際に導入前は午前中に40人の診察を行うとかなりの疲労感が残っていましたが、AIクラークを導入してからは診療効率が向上し、現在では50〜60人を診ても余裕を持って対応できるようになりました。
AIクラークは現在、1日に20〜30人の診療に活用しており、カルテ作成の負担を大幅に軽減してくれています。そのおかげで、診療中にカルテ記入のためにPCを見る時間が減り、患者さんの顔をみながらのコミュニケーションにしっかり時間を割けるようになり、説明もこれまで以上に丁寧に行えるようになりました。業務の質を維持しながら効率化も実現できる点で、非常に心強いサポートとなっています。

青和クリニックについて

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住所:〒191-0022 東京都日野市新井3-3-20
TEL:042-594-1900
院長:高橋 佐智子先生